「楽ちん」で「動きやすく」、「カラフル」に! 50代娘が選ぶ母への洋服「3つのポイント」

いくつになっても若々しい、児童文学作家の角野栄子さん。毎日の洋服を考えるているのは、娘のくぼしまりおさんです。今回は、くぼしまりおさんに「母が楽しく元気に、いきいきと輝くためのおしゃれの技やコツ」について伺いました。

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母が楽しく、笑顔になる洋服選び

「私が母の洋服を考えるようになったのは、母が80歳を過ぎた頃でした。昔のように服を買うために街を歩き回ったり、何度も試着をする体力がなくなっていたこともあって。代わりに私が準備することになったんです」

くぼしまさんは50代。

80代である角野さんの体と心に寄り添い、未来の自分を重ねながらスタイリングするといいます。

ポイントは主に3つ。

「まずは『楽ちんである』こと。締めつけのきつい服を着れば、すぐに疲れてしまいますから。それに『動きやすさ』も重要です。年をとると、思うように体が動かなくなるでしょう。例えば足さばきの良くないスカートだと、もつれて転んでしまうといった危険性も出てくるんです」

母世代にとって、洋服は健康状態を左右する大事な要素。

それを踏まえた上で、くぼしまさんが最も重視しているのが、色です。

「大人になるほど黒や茶、グレーといった無難な色を選びがちですが、年を重ねたからこそ『カラフル』を着てほしい。カラフルな洋服を着ると母の顔色はパッと明るく、華やかになるし、何より楽しそうなんです。楽しい気分になると出かけたくなり、お出かけすれば自然と歩くことが多くなる。健康にもつながるし、健康になれば生きることがもっと楽しくなるでしょう。私がカラフルをすすめる理由はまさにそこにあるんです」

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母への洋服選び3つのポイント

【point1】とにかく楽ちん
何より重要なのは着心地の良さ。軽くて、楽ちん。長時間身に着けていても疲れにくいことが大切です。

【point2】動きやすい
年齢とともに変化する体形や体の動きに合った洋服を。動きにくいと外出が億劫になったり、転倒など安全面での問題も起きやすい。

【point3】カラフル!
赤やオレンジなどカラフルな洋服を身にまとうと見た目が若々しくなるだけでなく「母の気分が上がり、自然と元気になるんです」。

カラフルな「ワンピース」は母世代の強い味方。
おしゃれが楽しくなります。

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ロングカーディガンでスリムに見せる
ワンピースに、ロングカーディガンを合わせれば縦長効果でスタイルがよく見えます。

ワンピースはゆるゆるサイズ
年齢を重ねると体に厚みが出て、硬くなってくるため、身幅には余裕があるものを。角野さんのワンピースは身幅53cmが基本。

着丈はひざ下7~10cm
ひざには老いが表れるためワンピースの丈はひざ頭が見えない長さに。座ったときに足が自由に動かせて楽ちんです。

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角野さんが好んで着ている洋服といえば、カラフルなワンピースです。

「さらりと着るだけでシンプルにおしゃれになり、着ていてすごく楽。着こなし方によって普段着にもなるし、よそゆきにもなる。ワンピースは魔法のアイテムなんです」とくぼしまさん。

ただし、若い頃とは体形や体格が違うため、選び方にはポイントあり。

身幅や着丈のサイズ感(上写真参照)はもちろん、「例えばアームホール。年齢とともに二の腕回りは太くなる。腕回りがきついと動きにくいでしょう? だいたい50cmあると着心地が良いはずです」。

さらに、着こなすコツは?

「同系色でまとめること。ほかの色を差し色に使うのも手ですが、実は意外と難しく、ともすればセンスの悪い派手な人になってしまうから」

必要なのは一歩踏み出す勇気だけ!

ぜひ、チャレンジしてみましょう。

ワンピースの選び方
大人世代に合うワンピースの条件とは?

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年齢を重ねると首回りがやせて見えるので、ある程度詰まった丸首タイプがおすすめ。

アームホール(二の腕回り)は50cm程度。

また、ひじは冷えにつながるため真夏以外は長袖に。

カーディガンを羽織ると中でもたついて着心地が悪くなるので、袖は中途半端な七分や八分より十分丈が理想です。

カラフルワンピースは同系色でまとめて
初心者でも真似できる着こなし術です。

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カラフルに不慣れな方なら、最初は多くの色を使わず同じ系統の色だけでまとめましょう。

オレンジ色のワンピースなら、オレンジ色のロングカーディガンと靴下を合わせて。

アクセントに赤い鞄を選べばセンス良く見えます。

靴下から始めてみましょう

カラフルなワンピースにチャレンジするのは恥ずかしい!

でも大丈夫。

少しずつカラフルに慣れていきましょう。

【Step1】靴下をカラフルに

黒や茶、グレーといった地味な色のワンピースでも、靴下がカラフルだと見た目もおしゃれでかわいくなります。

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赤やオレンジなど単色の靴下はもちろん、水玉やストライプなどの柄物を取り入れるのもおすすめです。

【Step2】靴下とカーディガンの色を合わせる

カラフルな靴下に慣れてきたら同系色のカーディガンを合わせてみましょう。

ぐっと明るい印象になり、統一感が出ます。

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落ち着いたグレーのワンピースがこんなに華やかに!

カーディガンの代わりにストールやスカーフなどで色を合わせてもOK。

《アクセサリーひとつですてきに!》

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角野さんが愛用するのはプラスチックやアクリル素材のかわいらしいアクセサリーばかり。

ひとつ着けるだけで華やかで楽しげな雰囲気になるのはもちろん、軽くて疲れないこともメリットです。

イラスト/くぼしまりお 文/葛山あかね 編集協力/酒井ゆう、平林亜紀(micro fish) 撮影/馬場わかな 協力/(有)角野栄子オフィス

 

角野栄子(かどの・えいこ)さん
児童文学作家。1935年、東京・深川生まれ。70年デビュー。『魔女の宅急便』『小さなおばけシリーズ』など著書多数。2018年に日本人3人目となる国際アンデルセン賞作家賞を受賞。86歳現在、「大好きないちご色」の壁の家で暮らす。
 
くぼしまりおさん
作家・アーティスト。1966年生まれ。文化学院美術科卒業。幼少より絵や漫画を描くことに熱中し、2001年『ブンダバー』でデビュー。翻訳家・イラストレーターとしても活躍する傍ら、角野さんの毎日の洋服を考える"母専属"のスタイリスト。

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『50代になった娘が選ぶ母のお洋服 魔法のクローゼット』

(くぼしまりお/KADOKAWA)

1,650円(税込)

着やすいワンピースの条件や、おうち時間の服装など。母世代をおしゃれに、元気にするコツが満載のカラフルな一冊。

この記事は『毎日が発見』2021年8月号に掲載の情報です。

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