さまざまな健康効果のある酢。飽きずに摂取するならうま味と香りの濃いだしと合わせるのがおすすめです。酢のクセがやわらぎ、毎日おいしく取り入れられます。今回は、管理栄養士・料理研究家の牧野直子(まきの・なおこ)さんに「だし酢の効果と作り方」を教えてもらいました。
うま味と健康効果のWメリットがのぞめます
酢の健康効果と、だしのおいしさを併せ持つ「だし酢」を教えてくれたのは、管理栄養士の牧野直子さん。
「かつお節、煮干しなどだしが出るうま味食材を酢に漬けるだけで、酢の酸味がまろやかになり、漬けた食材もいただけるのがメリット。健康づくりには一日大さじ1の酢の摂取が効果的なので、ぜひ試してみてください」
手軽に続けられる「だし酢」の効果
【効果1】酢酸の効果で血圧上昇を防ぐ
酢の主成分の酢酸は血管を広げる働きがあり、血圧上昇抑制が期待できます。
また、だしと酢を組み合わせることで、塩分控えめでもうま味が感じられ、自然と減塩調理につながります。
【効果2】食後血糖値の上昇を抑える
酢の酢酸にはインスリンの働きを良くする効果があり、糖尿病の原因になる食後血糖値を安定させます。
うま味を含んだだし酢を調味料として使えば、糖質カットにも。
【効果3】内臓脂肪を減少させる働きも
酢酸は血液中のLDLコレステロールと中性脂肪を下げる働きがあり、肥満やメタボリックシンドロームを予防。
閉経後、コレステロール値が上がりやすい女性の体を守ります。
【効果4】疲労回復にも効果あり
酢を摂取すると体内でクエン酸に変化し、糖のエネルギー代謝を活発にします。
豚肉、うなぎなどビタミンB群を含む食材と一緒に摂ることで、夏バテしにくい元気な体に。
次からは、4つのおすすめだし酢と使いこなし術を紹介します。
2週間冷蔵保存できる
4つの「だし酢」の作り方
だし食材と酢だけで作れるだし酢。
漬ける食材によって風味が変わるので、料理に合わせて使い分けるのがおすすめ。
漬けて2日ほどたつとうま味が濃くなります。
かつお節酢
イノシン酸のうま味は淡泊な素材に
材料(作りやすい分量)と作り方
清潔なびんにかつお節25gを入れ、穀物酢2と1/2カップを加える。ふたをして冷蔵室に一晩以上おく。
昆布酢
グルタミン酸のうま味は肉や魚と相性よし
材料(作りやすい分量)と作り方
清潔なびんに長さ4~5cmに切っただし昆布25gを入れ、穀物酢2と1/2カップを加える。ふたをして冷蔵室に一晩以上おく。
煮干し酢
煮干しもそのまま食べられます
材料(作りやすい分量)と作り方
煮干し40gは頭と腹わたを取り、耐熱皿にのせて電子レンジ600Wで1分加熱する。清潔なびんに入れ、穀物酢2と1/2カップを加える。ふたをして冷蔵室に一晩以上おく。
しいたけ酢
香りが濃厚。混ぜずしなどにも
材料(作りやすい分量)と作り方
清潔なびんに干ししいたけ10個(約25g)を入れ、穀物酢2と1/2カップを加える。浮かないようにラップで覆い、ふたをして冷蔵室に一晩以上おく。
【簡単】かけるだけ! 混ぜるだけ!
だし酢は、うま味のある酢。
野菜や納豆、飲み物など、いつもの食材にかけたり混ぜたりするだけで、手軽においしく酢の健康効果が得られます。
せん切りキャベツ+煮干し酢
酢でやわらかくなった煮干しものせれば、ビタミンもカルシウムも同時に摂取できます。
しらす干し+昆布酢
グルタミン酸のうま味は、動物性食材のしらすと好相性。
蒸し野菜などにのせても。
納豆+かつお節酢
納豆に加えると粘りがやわらぎ、食べやすい食感に。
かつお節でうま味もアップ。
トマトジュース+しいたけ酢
爽やかな酸味にしいたけの濃厚な風味がマッチ。
トマトジュースが苦手な人にもおすすめ。
だし酢作りの3つのコツ
鍋も包丁もいらないだし酢は、思い立ったらすぐに挑戦できるのが魅力。
材料の選び方と保存のポイントを押さえれば、失敗せずに作れます。
1.酢は好みのものでOK
基本は穀物酢ですが、米酢にするとまろやかな風味に。
りんご酢は爽やかな酸味、玄米酢や黒酢はコクのある風味が楽しめます。
いろいろ試して好みを見つけて。
2.だし素材の選び方
かつお節、昆布、煮干しなど一般的なだし食材の他、しいたけ、帆立の貝柱などの乾物などでも作れます。
漬けたあとの食材もムダなく活用しましょう。
《だしパックの場合は》
市販のだしパックは塩分を含むものが多いので、注意して。
漬けたら2日以内に取り出します。
3.適した器と保存のこと
口が広く、密閉できるガラス容器がおすすめ。
きれいに洗ったものを使いましょう。
保存は冷蔵室で。
少なくなったら酢やだし食材をつぎ足してもOK。
【次回】さっぱり食べられてうま味もたっぷり! 夏バテ回復にも効果的な「だし酢」でアレンジ麺レシピ
【まとめ読み】特集「毎日「だし酢」宣言!」記事リストはこちら!
取材・文/坂本典子、佐藤由香(シェルト*ゴ) 撮影/南雲保夫