「なんとなくやる気が出ない...」そんな日はだいたいのことがうまくいかず、さらに憂鬱になる、なんてことも少なくありません。そんな悪い気持ちの流れを解消できるのが、30代で病身の夫に代わりビジネスで大きな成功を収めた臼井由妃さんの著書『元気の作法』(方丈社)に散りばめられたヒントの数々。今回は同書から、いつでも簡単に元気が出るようになる習慣づくりのコツをお届けします。
あえて不便なことをやってみる
今は便利さと快適さを追求するあまり、何でも楽にすませる傾向があります。
労力や手間を省く工夫がつまった商品や製品が市場に溢れ、それらの恩恵にあずかっているのも事実です。
今やインスタントラーメンといえば「カップ麺」を想像する人が多いでしょうが、かつては袋麺スタイル。
スープも同時に調理できる即席麺「チキンラーメン」の発売は1958年8月で、私が生まれた5か月後でした。
「チキンラーメンと由妃ちゃんは同級生なのよ」折にふれ、祖母が話してくれたのを思い出します。
以来、ラーメンはお店で食べるのが普通だったのが、カップにお湯を注いで3分で味わえるようになっただけでなく、人気ラーメン店とのコラボや地方色豊かなラーメン、生麺と遜色のない商品まで登場する進化を続けています。
ラーメンひとつとっても、こんなに便利になりました。
家庭の中に目を向ければ、家事のほとんどを家電製品が代替してやってくれ、ロボット掃除機の登場で掃除さえも自動化されようとしています。
今でこそこうした便利さは当たり前になっていますが、昔の人たちから見れば夢のような世界が現実になっている。
一方で、昔は見られなかったような心身の病の複雑化、謎のウイルスの感染問題が社会生活に大きな影響を及ぼすほど深刻化したのも事実です。
私には、世の中が便利になったことと、人々の心身の状態が深刻化してきたことが無関係とは思えないのです。
生活が便利になるにつれ、面倒なことをしなくてもすむようになり、体の機能やパーツを使う機会が減ったために、以前にはなかったような病が生まれてきているのではないでしょうか。
便利さに慣れてしまえば、それが当たり前。
その便利さを得られないことがあると、人は不平不満を口にする。
ストレスやイライラに苛まれる。
これでは、心が深刻な病に冒され身体機能が低下するのも不思議ではありません。
そんなことにならないために、できる限りエレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う。
ロボット掃除機を使わずに自分の手で掃除をする。
すると、心地よい汗をかきます。
私は家事の中でも料理が好きなので、小麦粉に塩と水を加え、こねて寝かせて伸ばして切れば、「手打ちうどん」。
出汁をとった昆布やかつお節を保存し、ある程度の量になったら、醤油、みりん、酒で煮詰めて「昆布の佃煮」や「ふりかけ」。
味噌と乾燥わかめ、ねぎのみじん切り、かつお節を混ぜて丸めて「味噌玉(自家製のインスタント味噌汁の素)」をつくる。
こんなふうに自宅にある食材で、1週間美味しく楽しい食卓をつくる術を考え実践しています。
「あったらいいは、なくてもいい」と捉えて、手間をかけて暮らす。
ときには、あえて不便を楽しんでいます。
機械は使わないと性能が低下しますが、私たちも同じではないでしょうか。
技術の進歩や進化、成長で私たちは幸福を手にしたように見えますが、それが心身に悪影響をもたらすようになったら意味がありません。
ですから、ときには便利さから抜け出し、あえて不便さの中に身を置き、面倒なことを率先してやってみるのも、「元気の作法」の一つなのです。
【元気ポイント】不便は知恵を生み、知恵は元気を導いてくれる。
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