「なんとなくやる気が出ない...」そんな日はだいたいのことがうまくいかず、さらに憂鬱になる、なんてことも少なくありません。そんな悪い気持ちの流れを解消できるのが、30代で病身の夫に代わりビジネスで大きな成功を収めた臼井由妃さんの著書『元気の作法』(方丈社)に散りばめられたヒントの数々。今回は同書から、いつでも簡単に元気が出るようになる習慣づくりのコツをお届けします。
自分ができていることを書き出す
「施し」とは、一般的には恵み与えること、または僧侶に与えるお金や品物(布施)を意味します。
「誰かに何かを施す」というと、上から目線で「与えてやる」というニュアンスを感じる人もいるかもしれませんが、私が考えている「施し」とは、「自分が誰かの何かに役にたっていること」を意味します。
ですからそれはお金や品物をあげるというのではなく、具体的に言えば、仕事において誰かの労力や時間をシェアする、仕事や社会生活を通じて世の中によい影響を与えるということです。
しかし、自分が誰かに「やってきたこと」とか「今、やっていること」は、自分自身が行っていることだからこそ正確かつ客観的に見られないという面があります。
ですから自分の「施し」を正しく把握するためには、自分の上にもう一人の自分を置いて、
「本当に役立ったと思うの?」
「相手は心から、喜んでいるのかしら?」
「見返りを期待してやったことじゃないの?」
といったことを自分に問いかけ、「もう一人の自分というフィルター」で突っ込みを入れながら、施していることを紙に書き出すようにしています。
私は毎月1日にこの「施しチェック」を行い、書き出しを行っています。
前月、どんな施しをしたのか、アトランダムに頭に浮かぶままに、そのシチュエーションと自分の気持ちを記していきます。
2020年4月1日のリストには、
●隣に住む一人暮らしの高齢のご婦人の買い物の代行をした(3月31日)。
→風邪をひいてつらそうだったので「買い物に行くけれど、必要なものがあったら、ついでに買ってきますよ」と、さりげなく伝えた。
→遠慮がちだったけれどお願いされてうれしかったし、届けたときの相手の笑顔は忘れない。
●熱海駅まで徒歩20分、すれ違う人すべてに「おはようございます!」と言った(3月2日)。これまで声をかけられてもスルーしていた自分を反省。
→こんなに気持ちがいいなんて。よしずっと続けよう。
→いい気持ちは相手と共有できるはず。
●レストランで会計後「特に○○がおいしかった。思い出に残る味です」と正直な気持ちを伝えた(3月13日)。
→満面の笑みを返してくれた。
→グルメレポーターのように飾った言葉よりも、素直な気持ちを言葉に込めたほうがいいと学んだ。
→「自分はサービス業」と自覚しよう。
●かかりつけ医に定期健診に行ったら「臼井さんのような元気な高齢者は貴重だよ」と冗談交じりに笑顔で言われた(3月1日)。
→ドクターだって人の子。「元気な人」を見るのはうれしいんだと改めて思う。
→病院だから病人がいて暗いムードになるのは当然。
→長居する、通い詰める場所ではない。
こんなふうに私自身の心象も描写しています。
ただし制限時間は30分。
誰に見せるわけでもないのですから、殴り書きで結構。
乱筆、乱文で構いません。
書き出すことで、元気な自分や元気になったシチュエーションが、鮮明になってくる効果があります。
今、悩みや不安を抱え元気が足りなくても、施しをした自分を見つけるとエネルギーが湧いてきます。
元気の炎が燃えてくるのです。
【元気ポイント】施すとは、お金や品物をあげることではない。人と社会に役立つ行為をすること。
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