「憲法」守るべきは誰?「日本国憲法=国の最高法規」の意味とは

総理大臣、選挙、憲法改正など話題の尽きない日本の政治。とはいえ、話が大きすぎてよく分からないという人も少なくないでしょう。そこで、カリスマ塾講師・馬屋原吉博さんの著書『今さら聞けない 政治のキホンが2時間で全部頭に入る』(すばる舎)から、「わかりやすい政治用語の基本」の一部を抜粋してお届け。基本を知ると、今の世の中がよくわかります。

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憲法は法律より強い「国の最高法規」

ルールには「強さ」がある

政治とは、ルールに関する様々な作用です。

では、ルールの「強さ」について考えてみましょう。

今のところ、人間が作ったルールで、世界中の人間が守らなければならない絶対的なルールは存在しません。

国際法というものも存在しますが、国際法の拘束力は限定的なものです。

というわけで、いったん「世界」はあきらめて、「国」のレベルに目を向けます。

「法律」は、原則として、日本において誰もが守らなければならないルールだとされています。

しかし、その上に、もっと「強い」ルールが存在します。

それが「日本国憲法」です。

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「日本国憲法」=「国の最高法規」

「強い」とは、法律やその他のあらゆるルールが日本国憲法に違反していた場合、そのルールは「効力を持たない」という意味です。

このことを、「日本国憲法は国の最高法規である」と表現します。

《日本国憲法第98条:この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。》

では、なぜ、憲法にはこのような強い力が与えられているのでしょうか。

「憲法」と、法律などのその他のルールには、どのような違いがあるのでしょうか。

憲法とは何か?

「憲法とは何か?」という問いに対する答えは、調べてみるとかなり複雑ですが、ここでは、基本的な2つの意味についておさえておきましょう。

まず、憲法は「国の政治に関する基本的なルール」を定めたものです。

立法・行政・司法を、それぞれ国会と内閣と裁判所に割り振っているのも憲法です。

ただ憲法には、もうひとつ、非常に重要な使命があります。

それは「国家権力を制限し、国民の人権を守る」というものです。

この使命を帯びた憲法を、「立憲的意味での憲法」あるいは「近代的意味での憲法」と呼びます。

アメリカ独立宣言などの流れをくむ

近代的意味での憲法の歴史は、一般的に、1215年にイギリスで誕生した「マグナ・カルタ」から始まると言われています。

これは、当時の貴族たちが国王に対して勝手な課税などを禁じた文章です。

このような、「国民の人権を侵害しようと思えばできてしまう国家権力を、強いルールによって制限しよう」という考えは、その後、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言などに受け継がれていきます。

この流れを受けて誕生した日本国憲法も、「国家権力を制限し、国民の人権を守るためのもの」という側面を強く持った憲法です。

「国民の人権を守る」という使命を帯びているからこそ、日本国憲法は「国の最高法規」と位置づけられているのです。

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GHQの意向を強く受けた憲法

日本国憲法は1946年11月3日に公布され、半年後の1947年5月3日に施行された、前文+103条からなる憲法です。

「公布」とは、広く一般国民に知らせること。

「施行」とは、その法令が現実に効力を持つ状態にすることを指します。

当時の日本は、マッカーサーが最高司令官を務めるGHQの占領下にあったため、GHQの意向を強く受けた憲法となっています。

ただ、形式としては、日本の国会が「大日本帝国憲法」を改正する、という手続きを経て成立しました。

「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という「三大原則」ついては、覚えていらっしゃる方も多いかもしれません。

憲法を守るべきは国家

前文に続く103条の条文は、「天皇」「戦争の放棄」「国民の権利及び義務」「国会」「内閣」「司法」「財政」「地方自治」「改正」「最高法規」「補則」の11の章に分けられています。

国民の義務として、「保護する子女に普通教育を受けさせる義務」「勤労の義務」「納税の義務」の3つが規定されています。

ただ、「憲法尊重擁護の義務」について定めた第99条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と記されています。

ここに「国民」は入っていません。

そのことから、主に日本国憲法を守るべきなのは「国家権力を持つもの」であること、つまり、日本国憲法は、「近代的意味での憲法」としての側面を強く持っているということがわかります。

●日本国憲法の構成(前文以外)

1章:天皇(第1条~第8条)

2章:戦争の放棄(第9条)

3章:国民の権利及び義務(第10条~第40条)

4章:国会(第41条~第64条)

5章:内閣(第65条~第75条)

6章:司法(第76条~第82条)

7章:財政(第83条~第91条)

8章:地方自治(第92条~第95条)

9章:改正(第96条)

10章:最高法規(第97条~第99条)

11章:補則(第100条~第103条)

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140-H1全8章にわたってカリスマ塾講師が政治に関するさまざまな用語をわかりやすい図解で解説しています

 

馬屋原吉博(うまやはら・よしひろ)
中学受験専門・個別指導教室SS-1社会科教務主任。中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員。大手予備校や進学塾で、大学・高校・中学受験の指導経験を積み、現在は完全1対1・常時保護者の見学可という環境で中学受験指導に専念。開成、灘、桜蔭、筑駒といった難関中学に、数多くの生徒を送り出す。著書に『CD2枚で古代から現代まで 聞くだけで一気にわかる日本史』(アスコム)などがある。

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『今さら聞けない 政治のキホンが2時間で全部頭に入る』

(馬屋原吉博/すばる舎)

通常国会や予算委員会、審議会に憲法改正など、ニュースでたくさん聞くけど、結局それって何なの?何のためにするの?今さら聞けないそんなモヤモヤを、中学受験のカリスマ塾講師がわかりやすく解説。「政治」が私たちの生活に密接にかかわっていることがわかる一冊です。

※この記事は『今さら聞けない 政治のキホンが2時間で全部頭に入る』(馬屋原吉博/すばる舎)からの抜粋です。

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