友人や家族と遊んでいても、仕事が気になって楽しめない...休日に、心と体をちゃんと回復できていますか?そんな「毎日忙しい!」と感じるあなたに、精神科医・西多昌規さんの著書『休む技術』(大和書房)から、日常のパフォーマンスが上がる「上手に休むコツ」を連載形式でお届け。きちんと休めば、仕事もプライベートもさらに楽しめるようになります!
平日休みの解放感がこころをラクにする
24時間、いつも人間関係のことを考えている。苦手な相手のことが気になって仕方がない。そういうひとは、強制的に人間関係を「休む」工夫が、必要になってきます。
仕事での人間関係を一時的にでも「休む」方法は、やはり、からだの疲れを休めたいときと同じく、週末の休みや有給休暇を消化することでしょう。週末ではなく、平日に1日休みを取ってみるのです。
これがなかなか難しいというひとも、もちろん多いと思います。人手不足や繁忙期など、物理的に仕事を休めない事情もあるでしょう。しかし、平日に休むこと自体に罪悪感を感じるという、純粋に心理的な原因で休みに踏み切れないことも、多いのではないでしょうか。
平日にリフレッシュ・デイをつくることには、普通の休日に休むのとは違う恩恵があります。
まず、どこも休日ほどは混雑していないので、ひとの多さから来るストレスから解放されます。日帰り圏内の行楽地、あるいは映画館などの街なかでの楽しみも、チャンスです。
わたしの患者さんには、たまの平日休みにゴルフに行くのを楽しみにしているかたもいます。休日は混んでいてあとの組に気を遣わないといけないが、平日はすいているから気がラクだと話しておられました。まさにリフレッシュ効果抜群の休日です。
どうしても平日休むことに罪悪感をもってしまうならば、健康上の理由を考えてみてはいかがでしょうか。ズル休みをすると考えると後ろめたいかもしれませんが、体調管理のために1日を当てるのだと考えてみるのです。
たとえば、休みを取って、あえて歯のチェックのために歯科を受診するというのも、アイデアです。多忙のあまり歯のメンテナンスがおろそかになり、気がついた頃には痛みで仕事、食事、睡眠ともに乱されてしまうことは、珍しくないのですから。
「こころの有給休暇」で苦手なひととは物理的な距離を取る
人間関係を「休む」とは、単に仕事をオフにすることではありません。自分から能動的に人づきあいのスイッチをオフにする、自主的に「休む」ということです。週末の休みは、カレンダーによって自動的に決まっていますが、こころの休暇は自分で決めましょう。
平日休みのもうひとつの利点は、「ひとり時間」が取れることです。特に家族のいるひとはなかなかひとりの時間が取れませんが、平日休みはチャンスです。
人間関係を「休み」にするには、「ひとり時間」という孤独も、悪くはないのです。
自分の「隠れ家」をもつことも、お勧めしたいコツのひとつです。せっかく休みを取っても、自宅では家族の手前のんびりできないとか、なんとなく罪悪感が湧いてくるようでしたら、カフェ、図書館、公園、ゴルフ練習場などなど、自分らしく「ひとり時間」を過ごせる隠れ家的な場所を、「自宅」「職場」以外で探してみてください。
「平日に1日休んだくらいでは変わらない」というひともいるでしょうが、そういうひとはオフィシャルの休日もはたして休めているのかと、心配になります。なぜなら、休日の有用性、意義を過小評価している可能性があるからです。そのような考え方をしがちなひとは、特に若い部下がいるならば、注意すべきです。自分の価値観を、他人に押しつけている危険があるかもしれません。
それでも「1日休」が難しいというひとは、からだの休息を取るときと同じように、「半休」「時間休」を考えてみてください。なにも1日フルで休むことだけが、休みではありません。ちょっと早めに仕事を上がって、自分の「隠れ家」でひとときを過ごすのは、バカにできないストレス対処法です。
自分なりの「ひとり時間」の枠は、時間、場所ともに、少しだけ努力しないと手に入りません。自分の「隠れ家」で少しばかり人間関係を「休む」ことができれば、大きな充電効果が得られるのではないでしょうか。
科学的根拠と臨床経験を基に、過ごし方や取り方など「休み」について、5章にわたって徹底解説