【理想の間取り】「リビング」は家族団らんと移動するスペース。広さと動線の確保が第一条件

多くの人にとって人生で一番大きな買い物である「家」。老後の過ごしやすさなど、いろいろ考えて建てたのに、しばらく暮らすと不便な部分がチラホラ...。その理由の一つは「間取りのプランニング不足にある」と現役工務店社長・窪寺伸浩さんは言います。今回は、『いい住まいは「間取り」と「素材」で決まる』(あさ出版)から、「家と人生の関係、理想の間取り」について連載形式でお届けします。

pixta_31915284_S.jpg

オープンで明るい【リビング】

「リビング」は家族の共通の憩いの場です。かつては、茶の間が家族団欒の唯一の場であったのですが、それが洋風の部屋に変わり、テーブルやソファーを置くスタイルが一般的になったのは、1960年頃からでした。

このような洋風のリビングは、明治末期から大正にかけて、大邸宅に住む特権階級の人々が競ってつくった、いわゆる「応接間」の影響を強く受けたものであり、新しいライフスタイルの象徴でもあったようです。

そのせいか、この「リビング」の計画に当たっては、どなたもたくさんの夢をお持ちの方が多く、装飾やリビングのセットにいろいろな工夫をこらす場合が普通です。

しかし、いざ完成してみると、リビングを充分に活用している例はむしろ少なく、椅子の上に座ったり、横になったりして、リビングのセットにしっくりなじまなかったり、食堂で団欒を楽しんだあとは居間を素通りして、それぞれの部屋へ入ってしまうことが多いようです。

スペースを広くとり、しかも、いい場所にありながら、あまり使われないのでは、せっかくの「リビング」が泣きます。つまり、簡単なようで、難しいのは、「リビングの計画」であることがわかります。

リビングは庭に面してつくられることが多く、四季の自然の変化に最も敏感な場所ということができます。その意味では、庭の延長ということもできるでしょう。一方、近隣の住宅が密接している場合は、2階に位置することが多くなっています。

オープンな零囲気を持った、誰もが家族に秘密を持つことのない明るい環境が、居間の生命と言うことができます。南側に面したリビングは、冬は暖かく、夏は涼しく、自然に順応した構造が家族すべての健康を守ります。

リビングは特にその広さがポイントです。しかし、その広さも程度問題で、ホテルのロビーなどを想定して、ただ広ければいいというものでもありません。

大家族とか、社交好きで絶えず来客の多い特別な人は別として、一般の家庭における広さとしては、十畳から十二畳あれば充分でしょう。八畳ではちょっと狭すぎます。

応接セットやサイド・ボードを置くだけで一杯になってしまいますから、その場合は家具に充分配慮する必要があります。

いうまでもなく、住まいは毎日の生活の場であり、ホテルや外の社交の場とは根本的に性格が違います。つまり、衝動的な感覚で判断するのは禁物です。「どこどこのホテルがよかったから」とか、「あの時のクラブ・ハウスが気に入ったから、自分の家のリビングも同じようにしたい」などと思ったとしても、特に慎重に考えるべきでしょう。

リビングは憩いの場所、団欒の場所、家族共通の場所です。住まいの理念をわきまえた正しい判断が、このような時にこそ必要なのです。

リビングは食堂や台所、そして客間に近い所で、しかも、それぞれの部屋にスムーズに行ける場所でなければなりません。居間の役割をよく理解して、効果的に利用できるような計画を立てていただきたいものです。

間取りと素材で家の良さは決まる!「いい住まい」の記事リストはこちら!

039-syoei.jpgキッチンやリビングから玄関に階段まで、あらゆる「理想の間取り」が分かります

 

窪寺伸浩(くぼでら・のぶひろ)

1961年、東京都生まれ。台湾、中国などから社寺用材の特殊材の輸入卸を行うクボデラ株式会社代表取締役社長。東京都神棚神具事業協同組合理事長。「幸福を生む住まいづくり」を提唱する環境研究グループ「ホーミースタディグループ」の中核メンバー。神棚マイスターとしても活動する。著書に「なぜ成功する人は神棚と神社を大切にするのか」(あさ出版)がある。

shoei.jpg

『いい住まいは「間取り」と「素材」で決まる』

(窪寺伸浩/あさ出版)

自分の年齢や家族の人数、暮らし方や重視することの変化にうまく対応する「家」とは、どうあるべき?長い人生を快適に暮らしていくための「間取り」と「素材」の決め方を、現役の工務店社長が教える「家づくり」の解説本。家族が長く、幸せに住める住まいづくりの方法が分かります。

※この記事は『いい住まいは「間取り」と「素材」で決まる』(窪寺伸浩/あさ出版)からの抜粋です。
PAGE TOP