運動や食事制限など「長続きしないこと」ってありますよね。でもそれは「続けること」に頑張って疲れてしまっているからかもしれません。そこで、家計簿をつけることで「ダイエットを習慣化」するメソッドが話題となった『家計簿つけたら、ヤセました!』(川下和彦/あさ出版)から、三日坊主にならない「節約しながらダイエット」の方法を連載形式でご紹介します。
「続ける」を「続く」に変える3つのステップ
40年以上ずっとうまくいかなかった私のように、これまで何をやっても続けることができなかった人でも、習慣が続くようになるカンタンな3つのステップがある。
【「続ける」を「続く」に変える3つのステップ】
ステップ1 意志の力を使おうとしない
ステップ2 習慣化の障害になりそうなことを想像する
ステップ3 障害を取り除いてから習慣化をスタートする
「意志の力を使わずに続くなんて、まだ信じられない」と思われる方がいらっしゃるかもしれない。
しかし、あきらめるのは一度やってみてからでも遅くない。読んだらその瞬間から実践できるので、ぜひ試してみていただきたい。
ステップ1 意志の力を使おうとしない
目標を立てると、一刻も早くそのゴールに近づきたいと思うものだ。しかし、その瞬間にアクセルを踏んではいけない。遅かれ早かれ、ガソリンは底をつき、最後には止まってしまう。「今度こそは!」「今度こそは!」と毎回意志の力を使おうとする限り、延々と同じ失敗を繰り返すことになってしまうだろう。
たとえば、ダイエットのために食事制限を始めたとする。最初は付き合いを断わることができるかもしれない。ところが、尽きることなく毎日誘惑が襲いかかってくる。次々とくるお誘いを断るたびに意志の力は消耗していき、最後は「やっぱり断り続けるのは無理だ......」と習慣を投げ出してしまうことになるのだ。
「続ける」を「続く」に変えるためには、まずしっかり意識して意志の力を使うのをやめることだ。
ステップ1は、自分を南極のペンギンだと思い、どうすれば自分の力を使わないでまっすぐ長くすべり続けられるかを考えることである。
ステップ2 習慣化の障害になりそうなことを想像する
あなたはペンギンだ。そして、南極の大地にたたずんでいる。エネルギーを使わずに前進するには、どのような環境が必要だろうか?
慣性の法則を思い出していただきたい。力を加えられた物体は等速直線運動を始め、まっすぐ同じ速度で進み続ける。しかし、それは「空気抵抗や摩擦抵抗がなければ」の話だ。地球上では、物体に対して空気抵抗が働いたり、物体と床との間で摩擦抵抗が発生したりするので、まっすぐ進み続けようとするのを妨げる力が働き、物体はやがて停止してしまう。
このことをダイエットに当てはめてみると、夜はお付き合いを断れなかったり、頑張った1日の締めくくりにご馳走を食べたいと思ったりするので、それだけダイエットに対する抵抗が大きいということになる。
これをペンギンの立場になって考えるなら、意志の力を使って乗り越えなければならない障害があり、摩擦抵抗の少ないツルツルの氷ではなく、抵抗の大きいデコボコの氷の上をすべらなければならないようなものだ。
これではスムーズにすべれない。自分の意志の力を使って前に進まなければいけないため、結局エネルギーを消耗してしまうことになる。
ステップ3 障害を取り除いてから習慣化をスタートする
自分にとって障害になりそうなことがわかったら、それを取り除き、自分に等速直線運動を続けさせられる環境を整えよう。
習慣化に対する障害が多いからと言って、ダイエットをあきらめなければならないのか?もちろん、答えはノーだ。
夜のお付き合いが多い人は、昼はどうか、と考えてみればいい。もし夜まで働く人なら、昼から「今から飲みに行こうよ」と誘われることはないだろうから、自分でコントロールしやすい、ランチの内容を調整すればいいのだ。逆に、早く家に帰らなければならず、ランチが人との重要なコミュニケーションの機会という人なら、夕食の内容を調整すればいいだろう。
このように、習慣を持続する上で障害のない環境を整えることで、ペンギンが抵抗の小さいツルツルの氷の床をすべるような状態をつくることができるのだ。
同じように、人間も意志の力を使わずに、一度やり始めたことをずっと継続することができるのである。
本文イラスト/高田真弓
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1部で著者に起こった変化、2部でそのメソッドが解説。実際に使ったという家計簿アプリも紹介されています