仕事がたまる、残業が減らない、遊ぶ時間がない...そんな人は「時間の使い方」が悪いのかもしれません。毎月1冊、10万字の本を書き続けている人気ブックライター・上阪徹さんが実践している「時間術」についてお届けします。成功者3000人を取材して学んだという「時間の哲学」に満ちたメソッドは必見です!
※この記事は『大人の時間割を使えば、仕事が3倍速くなる! プロの時間術』(上阪徹/方丈社)からの抜粋です。
「to doリスト」はシンプルなものにする
なんでも、いつでもどこでもメモをしています。どんどんメモをしていったり、自分にメールをしていったりするわけですが、これらはひとつの「to doリスト」に落とし込んでいます。
リストはパソコン上のメモパッドに作っています。メモやメールから、そこに転記をしていく。毎日、仕事を終えるときと、仕事を始めるときに「to doリスト」をチェックして、記入したり、確認したりしています。
ややこしい作り方はしていません。1枚のメモパッド(私はMacを使っているので「スティッキーズ」です)を縦長にして、パソコンのモニタの左端に出るように置いています。そこに、ヨコ書きのやるべきことを並べて書いているだけです。下からto doをどんどん放り込んでいく。終えたものは消すのではなく、1、2行空きの上(やるべきことの上)に積んでいきます。そうすることで、過去にやったことを確認していくこともできます。極めてシンプルなリストです。
パソコン上で管理するようになったのは、この10年ほどでしょうか。かつては手帳を使っていましたので、手帳で「時間割」(※仕事のプロセスを小分けにして時間枠に当てはめる予定表)とは別に「to do」を管理していました。A4サイズの大きな手帳で、見開きになっている週ごとに「to doリスト」を置いていました。パソコンなら、やり終えたものは消してしまってもいいのかもしれませんが、あえて残しているのは、この手帳時代の経験からです。
当時はリストの一つひとつに○をつけていました。そして、終えると●に塗りつぶしていったのですが、これが毎日の楽しみでした。やらないといけないことを確実にやれた、という安堵感と気持ちよさ。ごくごく小さなことですが、これも自分へのご褒美だったのだと思います。
なので、もちろん過去にやったことが確認できるという利点もありますが、パソコンでもあえて残しています。○●という印をつけていた時期もありましたが、ややこしくなるのでやめて、今は1、2行空きで「やったこと」「これからやるべきこと」を分けているだけです。
そして、「これからやるべきこと」の下には、本の企画やら原稿のアイディアやら取材したい人のリストやらがずらりとメモになっています。
「to doリスト」なんて面倒だ、と思われる方もおられるようですが、だからこそ重要なことは、リストをシンプルなものにすることだと思っています。リストをややこしいものにしたり、特殊なアプリのようなものにすると、入力するだけでも手間になる。
もうひとつのポイントは、とにかくやるべきことを何でも書いていくことです。仕事以外のことも放り込んでいく。それこそ仕事でも、今では「時間割」をざっくりとしか作らなくなったので、「小分け」仕事をリストにして書いています。
例えば、「○○さんのインタビューを書く」といったざっくりした内容ではなく、「○○さんインタビューの取材データを聞く」という「小分け」仕事にまで落とし込んで書く。また、「誰々に確認メールを送る」「取材の人選をする」「名刺を発注する」など、時間割に入らないような細かなものも、すべて「to doリスト」に落とし込んでいます。そうすることで、やらないといけないことがより具体的になっていきます。
何より、目的はリストを作ることではなく、つつがなくやるべきことをこなしていくことができるようにすることです。
その意味では、「to doリスト」は、一度始めてしまうと、これくらいありがたいものはないと思います。先にも書きましたが、「ぼんやりしている状況」こそがストレスを生むのです。「やらないといけないことがたくさんあってイヤだな」とぼんやり思っている状況こそ、最もストレスな状態です。
それを「to doリスト」によって、はっきりさせていくことができる。これとこれとこれをやるのだな、ということがわかるようになる。これだけで、気分はまるで違います。ああ、書いてみたら、これだけだったのか、ということがわかったりする。
もし、これをやっていなかったとしたら、たくさんの仕事を抱えて右往左往するようなことになりかねません。「どうしよう。まずいな」といった不安にさいなまれることになると思います。
時間、ひいては人生の哲学から実践的なテクニックまで全6章にわたって丁寧に解説されています。「働き方とは何か」について考えるきっかけにも