毎日のルーティンが新鮮に!禅僧が教える「赤ん坊の心」のススメ

「体の不調」や「老後の貯蓄」などの心配事は、誰もが抱えているはず。考えすぎて心の重荷を増やす、嫌なサイクルに陥ってしまっている人もいるかもしれません。そこで取り入れたいのが「禅の習慣」。今回は、google本社で禅の講義を行う話題の禅僧による、「心配を取り除くための"ちょっとした思考のクセや生活の習慣を変える方法"」について、連載形式でお届けします。

※この記事は『心配事がスッと消える禅の習慣』(松原正樹/アスコム)からの抜粋です。

毎日のルーティンが新鮮に!禅僧が教える「赤ん坊の心」のススメ pixta_7434627_S.jpg前の記事「心配事をサクッと解決するたった一言の魔法の言葉とは/禅の習慣(2)」はこちら。

 

■禅の習慣
「過去も未来も大切にしない。毎日を『赤ん坊の心』で生きる」

長く生きていると、「自分はこういう性格」「昔も同じような失敗をした」といったように、物事を自分の経験値で見てしまいがちです。

もちろん、その人が歩んできた過去は、その人を形成している何事にもかえがたい人生の宝だといえますが、過去にしばられてしまうと、今を生きるのが難しくなってしまいます。

「私は優柔不断だから、引っ越し先のご近所付き合いがうまくいかないかも」「私は根気がないから、次の職場も合わないかも」

などと過去を基準に物事を考えてしまうと、心配事のスパイラルに陥(おちい)ってしまいます。

たとえ過去に同じような失敗をしていたとしても、今現在も同様に失敗する理由はどこにもありません。過去の記憶を捨てるわけにはいきませんが、それに執着してしまうと、心配事の種をどんどん増やしてしまうことになります。

ブッダは次のように教えています。「過ぎ去ったことを追ってはならない。未来のことについて夢のような考えを持ってはならない。みんなそれぞれの時間が決まっている。

だからあっという間に過ぎていくもの、瞬(まばた)きをする間になくなっているところのもの、つまり現在のみをよく観察するべきだ」

私は毎日を「新しい心」で生きるように心がけています。「新しい心」とは、過去や未来にとらわれない、「赤ん坊の心」といったところでしょうか。「赤ん坊の心」で生きるのを習慣にしていると、生きていることに自然と感謝の気持ちが湧いてくるから不思議です。朝、目を覚ましたときに、「生きている!」と新鮮な気持ちで毎日を送ることができるのです。

公園の木々が青々しく茂っているのを見て感動したり、心地よい風に吹かれて生の喜びを感じます。過去というフィルターを通さず世界を見ると、世の中はこんなにも美しいものに溢れているのかと毎日が発見の連続です。

生まれたばかりの赤ん坊が、さまざまなものに興味を抱くのと同じかもしれません。

雨が降って「嫌だな」と思うのは、過去の経験と重ね合わせて今日の雨を見ているからです。雨の日も、風の日も、「日々是好日(にちにちこれこうにち)」。天気に優劣はありません。今日という一日にいいも悪いもありません。

今日という日を目に映るまま、ありのままに受け止めていれば、毎日が好日となるのです。「赤ん坊の心」で出会った毎日のルーティンは、あなたの視点を「今」に引きもどし、今をとても新鮮で輝かしい瞬間にしてくれるのです。

 

次の記事「余裕ある自分になるために鍛えたい「心の免疫力」/禅の習慣(4)」はこちら。

 

 

 

松原正樹(まつばら・まさき)

1973年、東京都生まれ。千葉・富津市のマザー牧場に隣接する臨済宗妙心寺派佛母寺住職。アメリカのコーネル大学東アジア研究所研究員。ブラウン大学瞑想学研究員。ベストセラー『般若心経入門』の著者で名僧の松原泰道を祖父に持つ。コーネル大学でアジア研究学の修士号、宗教学博士号を取得後、カリフォルニア大学バークレー校仏教学研究所、スタンフォード大学HO仏教学研究所を経て、現在に至る。グーグル本社で禅や茶道の講義をするなど、マインドフルネス界からも注目を集めている。ニューヨーク在住。アメリカと日本を行き来しながら、禅とマインドフルネスの橋渡し的存在として、国籍や人種、宗教を問わず人々の「心の救済」にあたっている。

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『心配事がスッと消える禅の習慣』

(松原正樹/アスコム)

ニューヨークを拠点にスタンフォード大学、コーネル大学、グーグル本社などで禅的な生き方、心をラクにする瞑想法を指導している、いまもっとも注目すべき禅僧のデビュー作。不安・恐れ・孤独感・心の苦しみがスッと消える「禅的生活」のススメが、分かりやすく丁寧に語られた話題の一冊です!

この記事は書籍『心配事がスッと消える禅の習慣』からの抜粋です

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