「『難しい』と思うことが生きる力」87歳現役ITエヴァンジェリスト・若宮正子さん「頑張らない終活」

大人世代になると「終活」という言葉を耳にするようになります。でも、なんだか大変そうだし、何から始めればいいのか悩んでいる方も多いはず。ここで紹介する方々のように、「頑張り過ぎない自分流の終活」を探すことで、これからの人生をもっと楽しめるようになります。今回は、ITエヴァンジェリスト(伝道師)の若宮正子さんにお話を伺いました。

「終活」について、読者300人にお聞きしました!

(1)「終活」している?

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読者の7割超が、何らかの形で「終活」しているという結果に。中でも多かった答えは「たまっている不用品の整理をしている」でした。

(2)どんな「終活」をしている?

1. 不用品の整理
2. エンディングノート
3. 遺産・保険関係のまとめ

民間介護保険に加入するなど、ご自身の未来を見据えた「終活」をする方もいらっしゃいました。

(3)将来、子どもに「世話」をして欲しい?

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子どもに迷惑をかけず、人生を終えるときも「親」として凜としていたい。そう思っている方が多数でした。

(4)「介護される」ことを考えて備えていますか?

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介護施設の情報を入手したり、病気にならないよう体のケアをしたり。いまできることから始めている方も。

いざというときに子どもたちや周囲に迷惑がかからないよう、家を簡単に整理したり、介護保険や生命保険を見直したりするなど、物質的&金銭的な面で備えている方が多いよう。

「備えあれば憂いなし」という言葉もありますが、「終活」は義務ではありません。

頑張らずに自由な終活を目指しましょう。

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若宮正子さん・87歳

「ありがとう」と言われることをする。日々緊張感を持って生きていたいです

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取材当日、小さなリュックと手提げ姿で現場に現れた若宮さん。中には軽量タイプのノートパソコンが。

「難しい」と思うことが生きる力を与えてくれます

「生きるのに忙しく、死んだ後のことまで考える余裕がありません」――そう笑顔で語ってくださったのは、世界最高齢のアプリ開発者として称えられる若宮正子さん。

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エクセルというソフトを使い、デザインを作ることを発案。

「日本人は、生まれたときから棺桶に入ることを考えて生きている気がします。良い学校や会社に入れ、良い結婚相手を見つけろ、良い老後を送れ...と、ずっと先のことばかりに追い立てられている。でも、私は逆に考えています。人には、そのときどきにしか楽しめないことがあります。どんなことが起きても慌てないためには、起きるかどうか分からない未来を考えるのではなく、いまある一瞬を楽しんだ方がいい。我を忘れて何かに打ち込んだり、時にはボ~ッとしたり。未来ではなくいまの自分と向き合っていれば、悔いのない人生になると思います」

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若宮さん作のエクセルアートから生まれた小物の数々。

今年87歳になった若宮さんにとって、70代80代はまだまだ「コンテンツを作る年齢」なのだとか。

「コンテンツとは、内容、中身という意味を持つ言葉です。まだまだ私たちは新しいことを始め、自分の中身を埋めることができる。自分史やエンディングノートを書くのもいいですが、ブログやSNSを新たに始めた方がいい。だって、SNSに書き記せばそれがそのまま自分史になるんですから。私がすすめているのは『終活』という名の『老活』。老いたからこそできることをやりましょう。年をとったからと誰かに頼るのではなく、自分の力でなるべく行うのです。例えば仕事。ありがたいことに政府からお仕事を頂いていますが、緊張感を持って行うことでモチベーションが高まり、元気でいられます。また、私はそうした仕事の収入をNPOに寄付しているのですが、人から『ありがとう』と言われることは、幸せをもたらします。体が資本なので健康管理のために2カ月に1度病院に通っていますが、好きなものを食べて暮らしています。無理は決してせず、日々新しいことに挑戦する。これが私なりの『終活』なのです」

若宮さん流・頑張らない終活
1.先のことばかり考えない
2.老いたからこそ、できることをやる
3.ありがとうと感謝される行動を

タップするだけで遊べるゲームです

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若宮さん作のアプリ「hinadan」は、ひな人形を正しく配置するゲーム。

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スマートウォッチを使いこなす若宮さん。「心拍数など、これで把握しています」

取材・文/和栗 恵 撮影/齋藤ジン  ヘアメイク/たなかけいこ

 

<教えてくれた人>

ITエヴァンジェリスト(伝道師)

若宮正子(わかみや・まさこ)さん

愛称はマーチャン。デジタル庁デジタル社会構想会議構成員、エクセルアート創始者、メロウ倶楽部副会長。58歳からパソコンを独学で習得し、スマホ用ゲームアプリ「hinadan」「nanakusa」を公開。『老いてこそデジタルを。』(1万年堂出版)他、著書多数。

この記事は『毎日が発見』2022年6月号に掲載の情報です。

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