昨年と今年の夏は猛暑の影響で、多くの人が昼間の運動や外出を控えたのではないでしょうか。東京都渋谷区のサン・キタノクリニックの北野院長は、「外出を控え運動不足になると、身体活動量が低下し、筋力や体力の衰えにつながります。特に高齢者はフレイルが深刻な問題となります。また筋肉量が減少し、基礎代謝が落ち痩せにくくなったり、血行不良で冷え性になったりする原因につながります」と指摘しています。
さらに、「60代の女性患者さんは、昨年の猛暑で習慣だった散歩ができず、落ちた筋力を取り戻すのに3月までかかったと話していました。今年も同様の傾向が見られます。この方は体脂肪も増加したそうです」と述べています。
成長期には特別なトレーニングをしなくても筋肉が増えますが、そのピークは25歳頃です。成長のピークを過ぎ、運動習慣がない場合、筋肉は徐々に減少するため、25歳を超えたら筋肉を維持する努力が必要です。年齢に関係なく、運動と食事で筋肉を増やし、減少を防ぐことは可能です。食事面では、筋肉の維持に効果的な栄養素を含む大豆製品がおすすめです。
植物性たんぱく質や食物繊維を摂取する人ほどフレイルが少ない!
フジッコ株式会社と腸活の専門家である京都府立医科大学大学院医学研究科の内藤裕二教授らが2024年に実施した研究によると、男女ともにフレイル群と比較して、健常群では豆類および緑黄色野菜以外の野菜(根菜、海藻、きのこを含む)の摂取量が有意に高いことが示されました。特に男性において、豆類の摂取量増加がフレイルリスクの低下と有意に関連していることが確認されました。
フレイル予防にはたんぱく質の摂取が推奨されていますが、最近の研究では食物繊維の摂取が握力の向上と相関し、加齢による骨格筋量の減少を抑制する可能性が報告されています。豆類はたんぱく質と食物繊維の両方を豊富に含むため、これらの摂取がフレイルリスクの低下に寄与すると考えられます。
肉ではなく魚や豆類を食べる食生活や適度な運動が筋力向上に
京丹後市では、2022年時点で人口あたりの100歳以上の比率が全国平均の3.3倍に達しています。京都府立医科大学の内藤先生が関与する研究チームは、長寿者の多い京丹後市で多目的コホート研究を実施しています。この研究では、京丹後市を中心とした丹後地域の2市2町に住む65歳以上の約1,000人を対象に、腸内細菌叢や食事の傾向を調査・解析しました。その結果、フレイルリスクの低い健康な高齢者に多く見られる特定の腸内細菌(※1)が、大豆などの豆類の摂取や赤身肉を控えることと正の相関があることが明らかになりました(※2)。
内藤先生は、「フレイル予防策として、まず運動をイメージすると思いますが、食事によって筋肉を育てることも重要で、必ずしも肉を食べることとは限りません。実は筋肉と動物性たんぱく質の摂取量は相関していないことが証明されています。人間の体にたんぱく質は必要ですが、動物性たんぱく質である必要はなく、大豆ミートなど、大豆を中心に植物性たんぱく質を選べば、食物繊維も摂れます」と述べています。
さらに、「京丹後市の長寿の方々は日常的に体を動かしていますが、食生活で肉はほとんど食べず、魚や大豆などの豆類でたんぱく質を摂り、食物繊維の多い食事が普通です。このような習慣が筋力を向上させ、免疫機能を強化することで健康長寿につながっています。また、朝ごはんをしっかり食べて、腸の筋肉を刺激して便を出す習慣は腸の老化抑制、フレイル予防にも効果的です」とアドバイスしています。
大豆は「まるごと」がポイント!
大豆製品といえば納豆や豆腐を思い浮かべますが、和食を毎日食べる人が減少しており、これらを毎日摂取するのは難しいと感じる方が増えています。そんな方におすすめなのが、大豆を丸ごと使った「大豆ヨーグルト」です。大豆を丸ごと使用しているため、豆乳では取り除かれる「おから」の栄養素(食物繊維)もそのまま含まれており、たんぱく質と食物繊維を同時に手軽に摂取できます。
フジッコ「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」(400g・税抜258円)は、酸味が控えめでクリーミー、自然な大豆風味で食べやすく、無理なく毎日大豆を摂取できます。猛暑で低下した筋力と食欲の回復やフレイルの予防として、毎日の食生活に摂り入れてみてはいかがでしょうか。
※1)腸内細菌とは酪酸産生菌のことを指しています
※2)おいしい健康『まめけん』 「女性の健康と大豆」より