もうストレス無用! 91歳の評論家・樋口恵子さんが提案「調理定年してみませんか」

年を重ねるごとに食事作りがおっくうになると感じていませんか。長年続けてきた家事にも、定年はあるはず。「調理定年」を提唱している樋口恵子さんに、無理せず、食を楽しむ秘訣を伺いました。

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鎌倉 豊島屋の「鳩サブレー」は、「1枚いただいただけで十分おなかいっぱいになります」と樋口さん。1枚133kcalなので、牛乳と一緒に食べれば、ちょっとした軽食に。

体力が落ちてきたら、手作り主義は続かない

「私、整理整頓は苦手ですが、食いしん坊なのでお料理だけは大好きで、新婚当初は『こんなにご馳走を作らなくてもいいよ』とよく言われたものでした(笑)」

そう話す樋口さんが、「食事作りがおっくう」と感じるようになったのは、70代になってから。

「連れ合いを亡くし、料理をしても褒めてくれる人がいなくなってからですね。1人ですし、若い頃のように食欲があるわけでもないので、朝食は冷蔵庫を開けて、"右手に牛乳、左手にパン"で十分。それでも70代のうちは、夕食の献立を考えて買い物をし、週に2日ほど人を頼んで食材の下ごしらえをしてもらい、自分で仕上げの調理をしておりました。
私たちの世代は、出来合いの総菜を買うのに、なんとなく抵抗があるんです。80代に入ると、同級生たちも申し合わせたように『食事作りがおっくうになりました。それではならじと頑張っております』と年賀状に書いてくるようになりました。でも、体力が落ちて手作りがおっくうになってきたら、ストレスをためなくていいんです。仕事には定年があるんですから。そこで、 "調理定年 "という言葉に思い至ったわけです」

手抜き食事で栄養失調に。
84歳が私の調理定年

樋口さんが、自身の "調理定年 "を実感したのは、84歳で自宅の建て替えを行ったときだと言います。
「若い人でも引っ越しは大仕事なのに、80代でやるのは本当に大変です。分かっていながら自分で敢行したので文句は言えませんが、一番困ったのが料理でした。仮住まいで物の場所が変わってしまうと、お玉はいくつも出てくるのに、 "穴あきお玉 "が見つからない、というようなことばかり起こるんです。献立を考え、台所に立つ気力もなくなり、半年間の仮住まいで食も細くなりました。
新居に引っ越してからも体は絶不調で、『ひどい貧血の上、栄養失調ですよ』と診断される始末です。 "高齢の女性は低栄養に陥りやすい "と講演でもよく話しているのに、自分が栄養失調になるとは情けない。悔い改め、調理定年を宣言して、食生活を見直しました」

厚生労働省の調査(2019年)によると、低栄養傾向にある65歳以上は、男性12.4% 、女性20.7% 。

85歳以上では、男性17.2% 、女性27.9% 。

確かに女性の方がリスクが高いのです。

調理定年を宣言した樋口さんも、栄養バランスだけは気にかけていると言います。

「大好きな鳩サブレーと牛乳をコップ1杯で十分おなかいっぱいになりますが、朝昼兼用食は栄養バランスの良い食事をしたいので、シルバー人材センターから料理の上手な方を派遣していただき、夜は同居している娘と一緒に食事をすることが多いです。無理のないようにいろいろ活用して栄養を摂るようにしています」

取材・文/丸山佳子 撮影/原田 崇

 

<教えてくれた人>

評論家
樋口恵子(ひぐち・けいこ)さん

東京都生まれ。東京大学文学部卒業後、時事通信社、学習研究社、キヤノンを経て評論活動に入る。NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長。自らの老いを語った『老いの玉手箱 痛快!心地よく生きるヒント100』などがベストセラーに。

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この記事は『毎日が発見』2023年7月号に掲載の情報です。
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