ガーデナー・水谷昭美さん
「タイル貼りのシンクは使い始めて50年。修理しながら周りに植物を飾れば、古びた雰囲気もかえってすてき」
天井にはわせたのはかつて庭にあった白樺の枝。ポットなどを吊す収納具として使っています。シンク下のミニ棚は下水管の目隠し。
連載「暮らしの晴れ間」で、毎号季節の楽しみ方を教えてくれる水谷さん。
庭で育てたハーブや花を料理するこの空間は、"台所"と呼びたくなる懐かしさあふれる場所です。
まず目を引くのは、旅の途中で立ち寄った漁師町の古道具屋で見つけたという、タイルのシンク。
「一目惚れでした。これを使ってお茶碗を洗ったり、野菜を刻んだりしたいと家に運んだんですよ。便利な機能は付いていないけど、庭で摘んだ植物が似合う佇まいなのが何よりうれしい」
その言葉通り、シンクの周りには植物や木素材がいっぱい。
時を経て色褪せたりするけれど、古さがまた魅力になり、ますます大切に使おうと思えるのです。
初夏の庭。草花の間に雨風にさらされた古い井戸が置かれ、キッチン同様に懐かしさが伝わってきます。
タイルの修理も楽しみながら...
すのこを敷いて水仕事。タイルがはがれたら、目地材を接着剤にして貼り直します。
アイデア1:古い調理道具を植木鉢に再利用
さびて使えなくなったホーローの青いやかんにワイルドストロベリーの苗を植えました。長年使っているうちにあいてしまった底穴が、水はけ口になって植物にとってもいいのです。欠けた小鉢なども鉢に利用すると良い雰囲気に。
アイデア2:干したり、吊したり...。飾り方の工夫で野菜もかわいい
レードルにミニトマトやいちごなどの小さな野菜や果物を置いて、お皿に盛り付けるまでのほんのひととき飾ります。すぐできる楽しいアイデアです。
長期間色あせない赤とうがらしも優秀な小物です。
アイデア3:箸置きは庭の石。ひんやりして夏にぴったり
白、青、ボルドーなどのカラフルな石。使う直前に水で洗ってひんやりとさせ、涼しさを演出できるのもいいところです。丸めた庭の葉や編んだつるを食卓に運んで、日替わり箸置きを楽しむのもおすすめ。
アイデア4:お皿もフライパンも乾物だって"見せる"収納で
フライパンは壁上の桟に付けたヒートン(壁にねじ込む吊り下げ金具)に掛けているだけ。風通しもよく衛生的です。
お気に入りのお皿や小鉢をしまうのはもったいない...。いつでも目に入るよう食器棚に立てて飾っています。
かつお節や切り干し大根を密閉瓶に。インテリア小物としてこのまま飾ります。
昭和初期の冷蔵庫を食材ストック棚に。内側にブリキが貼られているので温度が一定に保てて便利。
詳しい記事はこちら:使い始めて50年の「すてきなキッチン」。植物を飾って古びた雰囲気も楽しむガーデナー・水谷昭美さん
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取材・文/飯田充代 撮影/齋藤ジン、斎藤大地