日本人に多い「睡眠不足」。なぜ「少し早く寝る」のが難しいのでしょう?

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働き盛りは男女ともに睡眠不足のひとばかり

「7時間睡眠がいちばん健康的で長生きできる」

睡眠について、テレビや雑誌でよくこんな定理を見かけます。

この定理、ある面では事実なのですが、意地悪な見方をすれば100%は正しくありません。人間に必要な睡眠時間には個人差があり、さらに個人でも年齢や置かれた環境によって異なるのです。

短いと言われる日本人の睡眠時間は、近年ではどう変化しているのでしょうか。

平成27年にNHK放送文化研究所が調べた国民生活時間調査を見てみましょう。日本人の睡眠時間を定期的に追跡している、約八千人を対象とした調査です。

その結果、1日の睡眠時間は、平日7時間15分、土曜7時間42分、日曜8時間3分という結果でした。睡眠時間がもっとも短いのは、50代女性で、平日で6時間31分でした。

平成23年度に行われた同様の調査に比べれば睡眠時間は増えたことは増えたのですが、平日でわずか1分、土曜日で5分、日曜日で4分だけの増加です。

減り止まったことは間違いないのですが、国際的に睡眠時間を比べたいくつかの調査でも、依然として日本人の睡眠時間が世界中でも、1、2を争う短さです。

日本人は総じて、睡眠不足気味なのです。

特に40歳代の働き盛りは、睡眠不足でないひとのほうが珍しいのではないでしょうか。睡眠不足によって、日中の日常生活や仕事にも支障が出るほどの強い眠気や頭痛、疲れやすさ、集中力・思考力の低下に悩むひともいます。いわゆる「睡眠不足症候群」のひとたちです。

「寝る時間を早くする」のはなかなか難しい?

睡眠専門のクリニックでも、実際に診察してみると、「睡眠不足症候群」で困っているひとが予想以上に多くいます。昼間の会議で居眠りしそうになった、急ぎの書類をつくらなければならないのに、とにかく眠くて頭が回らない。このくらいのことは、誰でも心当たりがあるでしょう。

しかし、他人と話している最中にカクンと寝てしまった、自動車を運転している最中に居眠りしそうになり、間一髪セーフだったぐらいの眠気となると、仕事にも支障が出るどころか、自分の信用や身の安全にも関係してきます。

前述の日本人の睡眠時間は7時間をなんとか超えているものの、あくまで平均値です。正規分布を示すとすれば、それよりも短いひとも当然かなり含まれていることになります。40~50歳代の働き盛りは、平日は7時間そこそこの睡眠時間でしのぎ、週末に1時間ほど長く眠って、深刻な睡眠不足にならないよう帳尻を合わせていることになります。

睡眠問題を啓発する科学的知見や報道記事は、ひと昔前より格段に増えてきていますが、日本人の睡眠時間が短いのは変わりません。寝具や快眠計など、快眠グッズの売れ行きは右肩上がりのようですが、裏を返せば「就寝時間を少しだけ早める」という単純なことが、いかに困難かを物語っています。

しかし、就寝時刻の前倒しに本気で取り組もうとすると、人畜無害な健康や科学の話題から逸脱してしまい、労働問題に踏み込むことになります。アメリカでは睡眠研究者が、「労働者を睡眠不足にしないような業務規定」をつくるよう企業への働きかけを試みたのですが、企業側の反発にあった経緯があります。

夜1時間早く寝ることが、どうしてこんなに難しいのでしょうか。

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055-syoei-yasumu.jpg科学的根拠と臨床経験を基に、過ごし方や取り方など「休み」について、5章にわたって徹底解説

 

西多昌規(にしだ・まさき)

1970年、石川県生まれ。精神科医、医学博士。早稲田大学スポーツ科学部学術院准教授。東京医科歯科大学卒業。精神科専門医、睡眠医療認定医。専門は睡眠、身体運動とメンタルヘルス。主な著書に『精神科医が教える「集中力」のレッスン』『感情に振り回されない技術』(ともに大和書房)などがある。

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『休む技術』

(西多昌規/大和書房)

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※この記事は『休む技術』(西多昌規/大和書房)からの抜粋です。

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