■失われていく自分の時間「人間不信になっていました」
約3カ月の入院生活を終え、一度退院したお母さん。この日からのじさんのヤングケアラーとしての生活が始まりました。学校以外のほとんどの時間を介護や家事に奪われ、部活をする時間もありません。
──当時16歳だったのじさんが相談する窓口や案内などはありましたか? 学校で相談することはできたのでしょうか。
私の場合、ハッキリ言って相談する窓口はありませんでした。しかも、当時はネットも今のように発達してなかったので、情報も豊富ではありません。友だちには言ってもわかってもらえないと思っていたので、相談はできなかったですね。先生には家庭の状況を必要最低限の範囲で伝えてはいましたが、相談するという感じではなかったです...。
当時は大人も助けてくれないし、伯母がめちゃくちゃ厳しかったこともあって人間不信になっていました(笑)。漫画には描いていませんが、友だちに「人間嫌い」って言っていましたね。まるで人間にいじめられた怪物みたいな言葉ですが、本当にそんな風に感じていました。ちなみに、今は人間嫌いではないです。
──当時のご経験を『高校生で親の介護を体験した話』として今描こうと思ったきっかけを教えてください。
自分が体験した出来事を忘れないようにしたいと思い、描き始めました。しかし、途中からは同じような出来事を体験している人へ向けて描いていました。このマンガを描き始めて少し経った頃に、「ヤングケアラー」という言葉が世間に浸透してきて、「私と同じ思いをしている人はたくさんいるんだ!」いう気持ちも溢れてきました。作品を描きながら、当時の自分と同じ思いをしている人に少しでもいいので、何かが届いたらいいなと思っていました
──同じような経験をされている方や、読者の方へメッセージがあればお願いします。
過去に私と同じ思いをした人も、現在ヤングケアラーとして頑張っている人も、少しでも私のマンガが心の支えになってくれたらいいなぁと思っています。そして、一刻も早く世界からヤングケアラーと呼ばれる存在がいなくなりますように。子どもが子どもらしく、何の心配もなく生活できることを願っています。