口座を持っているだけで手数料!? 気になる有料化...「紙の預金通帳」どう変わる?

今まで無料だった銀行口座の開設。それが、新しく口座を開設するときに「紙の預金通帳」を選ぶと手数料を取る銀行が出てきました。今まで通り「紙の預金通帳」か、これを機に「デジタル通帳」を選ぶか...今後、悩むことがあるかもしれません。そこで、生活設計塾クルーファイナンシャルプランナーの深田晶恵(ふかた・あきえ)さんに「"紙の預金通帳"の有料化」の様々な疑問についてお聞きしました。

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「銀行に口座を作るのはタダ」というこれまでの常識が、崩れようとしています。

みずほ銀行が1月18日から、新しく開設した口座の「紙の預金通帳」発行に手数料を取り始めました。

さらに三井住友銀行も同様に、4月以降の新規開設口座の「紙の通帳」に対し手数料を取ることをすでに発表しています。

「紙の通帳」有料化の動き

●みずほ銀行と三井住友銀行はこうなる

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これらの銀行では今後、上の表のように、口座新規開設の際に「紙の通帳」を選ぶと、手数料がかかってしまうのです。

ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんは、その理由について「銀行が印紙税の負担に悲鳴を上げている、ということに尽きます」と指摘します。

これまでは無料で当たり前のようにできていたサービスを、維持するのが難しくなっているのです。

実は、紙の通帳には「1口座当たり年200円の印紙税」がかかり、これを銀行が負担しています。

注目したいのは、1口座当たり「1年」に200円かかるということです。

「未利用の口座にも、毎年印紙税がかかってしまうのです」(深田さん)。

みずほ銀行には約2400万、三井住友銀行には約2700万の口座があり、「いずれの銀行も印紙税として毎年約50億円もの額を負担しています」と、深田さん。

景気もなかなか回復しない中、銀行が印紙税を簡単に負担できていた時代のようにはいかないのです。

他の銀行はどうでしょうか。

三菱UFJ銀行は紙の通帳の有料化についての方針は未発表ですが、デジタル化に積極的なので、紙の通帳は今後有料化になる可能性が高そうです。

半面、地方銀行などは事情が異なるようです。

紙の通帳の手数料有料化について他に注意したいことは、本記事の下部にまとめてあります。

最大手の銀行は紙の通帳を減らしたいと考えているのは間違いなさそうです。

この流れの中、私たちはパソコンやスマートフォンから見られるデジタル通帳の利用を検討すべきなのでしょうか。

深田さんは「無理してデジタル通帳を利用する必要はありません」と答えます。

みずほ銀行だと1月17日以前、三井住友銀行なら3月以前に開設した口座の紙の通帳について手数料は発生しません。

「いますでに持っている口座を整理するのが大切です。自宅近くに支店などがあって立ち寄りやすい銀行の口座を洗い出し、使う口座を絞りましょう。そしてこまめに記帳することを心がけるのがいいでしょう」(深田さん)

しかし、新規口座を開設する必要がある場合、紙の通帳の発行に手数料を取られることに抵抗がある人もいるかもしれません。

深田さんは「特別な理由がない、あるいは利用に不安があるなら、手数料を支払うことになっても紙の通帳を使う方が望ましいのでは」としています。

デジタル通帳を使うには、各銀行でインターネットバンキングの利用申し込みが必要です。

その後自分のパソコンやスマートフォンからアクセスするのですが、「十分に注意しないと、不正利用の被害にあうリスクが高まるからです」と理由を説明します。

紙か、デジタルか。

自分の目的に合う方を選ぶのが良さそうですね。

【次ページ:紙の通帳の手数料有料化について注意したいこと

 

<教えてくれた人>
生活設計塾クルーファイナンシャルプランナー
深田晶恵(ふかた・あきえ)さん
1967年生まれ、北海道出身。外資系電機メーカーに8年勤務した後、96年にFP資格を取得し、98年4月に独立。個人向けコンサルティングの他、メディアや講演活動を通じマネー情報を発信中。

この記事は『毎日が発見』2021年2月号に掲載の情報です。

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