最近はストーリー性重視に?裁判員に選ばれた場合の注意点とは

私たちが判決を下すこともある「裁判員制度」の開始から2019年5月で10年となります。制度の現状と課題、そしてもし選ばれたら念頭に置いておくべきことについて、埼玉弁護士会・裁判員制度問題検討特別委員会に聞きました。

pixta_45958749_S.jpg前の記事「実は出席率は2割強?「裁判員制度」開始10年で見える問題点とは」はこちら。

 
「黒に近いグレーも白」刑事裁判の原則を念頭に

裁判員裁判では、調査票や質問票に相応の辞退理由を記載し返送すれば、かなり幅広い範囲で辞退が認められているのが現状です。調査票と質問票の返送時に辞退が認められる人の割合は年々上昇傾向です。それでも、裁判員として選ばれることがあるかもしれません。その場合、どのような点に注意して参加すればよいのでしょうか。

菊地弁護士は、「従来は検察側が証明しようとしているストーリーの矛盾点、誤りを弁護側が追及すれば良かったのですが、いまでは検察側、弁護側双方が裁判の冒頭で、これから証明しようとするストーリーを主張するようになりました」と言います。「これでは、検察の主張が正しいかどうかではなく、検察側と弁護側のどちらのストーリーがより正しそうに聞こえるか、という誤った判断を裁判員の方々に迫ることになりかねません」と立石弁護士も続けます。

「刑事裁判の原則は、無罪推定。『疑わしきは被告人の利益に』ということ。つまり、日常生活ではグレーは黒だと思いがちですが、刑事裁判ではグレーは白なのです。もし裁判員裁判に参加することになった場合、この違いだけは頭の片隅に置いていただきたい」(小出弁護士)

新聞やニュースを見れば、事件の報道であふれ返っています。情報をシャットアウトし、フラットな気持ちで被告人を見つめるのは難しいかもしれません。しかし、この刑事裁判の原則だけは守って参加したいですね。

■裁判員が選ばれる流れ

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※裁判員制度HP「裁判員の選ばれ方」より作成 

取材・文/仁井慎治

 

 

<教えてくれた人>

埼玉弁護士会 裁判員制度問題検討特別委員会
新穂正俊弁護士・菊地陽一弁護士・立石雅彦弁護士・小出重義弁護士

2009年5月の裁判員制度開始直後から、問題点の検討や提言を行うために埼玉弁護士会所属の弁護士で組織された委員会。市民もオブザーバーで参加。制度の問題点検討を専門とする委員会は、現在では全国の弁護士会でもほとんどない。

この記事は『毎日が発見』2019年5月号に掲載の情報です。

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