「ダメ男だと馬鹿にされていた」夫が離婚を決めた、45歳妻の「決定的な一言」

「夢みたいだ」大事にしてくれる夫との結婚生活

「みたいですね」

早い話、彼は策略にはまったわけだけど、それくらいの罠は、ほとんどの女がやるのだから責めるつもりはない。

「それで付き合うようになりました。夫はいつも『夢みたいだ』って言いました。『君とこんな風になれるなんて考えてもいなかった』って。それから結婚話はとんとん拍子に進みました」

長年の思いが遂げられて、彼も相当嬉しかったのだろう。

「夫はとにかく私を大切にしてくれました。結婚式も新婚旅行も、新居を決める時も『朱里の好きなようにしていいよ』って私の意見を尊重してくれました。結婚してからもそれは変わらず、いつも私のことを最優先で考えてくれていたと思います。よく聞くじゃないですか、結婚は惚れられてする方が幸せになれるって。まさにそれを実感しました」

その時点では、めでたい話である。

「1年後に娘が生まれて、それを機に仕事はパートに切り替えました。2人目の息子が生まれてからは専業主婦になりました。資格があるので、落ち着いたらまたフルで働きに出ればいいと思って。それにも賛成してくれました」

安定した家庭に思えるが、何がどうなってこじれていったのだろう。

「私にもわからないんです......。夫は穏やかな人で、家事にも子育てにも協力的でしたし、うまくいっているものとばかり思っていました」

あなたの方に不満はなかった。

「それは......ないわけじゃないです。確かにいい人ではあるんですけど、ちょっと気が回らないところがあって、何にしても私がああしてこうしてと指示しないと、何もできないんです。気が利かないというか不器用というか、言葉は悪いんですけど、どんくさいというか。子供の受験の時なんかまさにそうで、プレ幼稚園から幼稚園、習い事、学校の選択、そのために通う塾もすべて私が決めました。学校の行事や、ご近所の付き合いなんかも苦手で、ちょっとイライラすることはありました」

役割分担と考えれば、それでもいいのでは。

「私もそれでいいと思っていたんです。でもどうやら、夫はそうじゃなかったみたいです」

彼女は遠い目をした。いよいよ本題に迫ってきたようだ。

 

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています


202310_totugisaki2_760x189.jpg

※本記事は唯川恵著の書籍『男と女 恋愛の落とし前』から一部抜粋・編集しました。

この記事に関連する「暮らし」のキーワード

PAGE TOP