薬の飲み過ぎも薄毛の原因になるんです。医師に聞いた「大人女性の白髪&薄毛の原因」

大人世代にとって、髪の悩みは尽きないもの。いろいろ試行錯誤してみても、コンプレックスは消えず、解決策が見いだせない...。そこで今回は、米元皮膚科医院副院長、齊藤典充(さいとう・のりみつ)先生にお聞きした「白髪・薄毛」の原因と対処法についてご紹介します。

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白髪も薄毛も基本的には加齢による生理現象です

「健康な髪」とは、どんな髪のことをいうのでしょうか? 

齊藤典充先生によると、「ハリとコシ、ツヤがあり、なめらかでしっとり。指通りが良い髪」のこと。

下記のチェック法で試してみましょう。


私の髪は健康!? 簡単なチェック法

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指を髪の根元に入れる→力をかけずにそのまま下ろす

  • 指がすっと通る
  • 数本程度の抜け毛が指に付く


健康な髪

  • 指が途中で引っかかる
  • 髪がゴワゴワしていると感じる
  • 10本も20本も抜け毛が指に付く
  • 肩にたくさんフケが落ちている


不健康な髪


「不健康な髪」に当てはまる場合は、薄毛や抜け毛になりやすい可能性がありますが、「健康な髪」なら、白髪や薄毛にならないのかというと、そうではありません。

「白髪や薄毛は、基本的には加齢による人間の老化現象の一つです。

白髪の場合、髪の色は『メラノサイト』という色素細胞が作っていますが、加齢とともにこの細胞が減ったり、色を作る働きが弱くなったりすることで色が作られなくなり、髪が白くなると考えられています。

薄毛や抜け毛は、女性の場合は女性ホルモンのエストロゲンが関係しています。

これは髪が抜け落ちることを防ぐ働きを持っていますが、閉経とともに減少するため、抜け落ちることを抑えることができなくなるのです」と、齊藤先生は話します。

「お肌の曲がり角」と同じく、髪にも曲がり角があり、現在、白髪や薄毛を完全に止める方法は医学的にも解明されていないそうです。

日々の習慣で髪を健康に。病気や薬が原因の場合も

加齢による白髪や薄毛を元に戻すことは難しいですが、正しいシャンプー(下記)などで頭皮を健やかに保つことで、健康な髪の寿命を延ばせると考えられています。

女性の薄毛には、「ミノキシジル」という成分が有効な場合も。

「本来は血圧を下げる薬に使われる成分ですが、毛が太くなる服用者がいることから薄毛にも使われるように。頭皮の血流を促して毛母細胞を活性化させる働きを持ち、発毛効果が科学的に証明されています。外用薬として薬局などで市販されているので試してみてもいいでしょう」(齊藤先生)。

白髪に関しては、髪の色素細胞を活性化させる研究も進んでいるそうです。


正しいシャンプーのコツ

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【髪を洗う頻度】毎日でも1日おきでもOK
シャンプーは清潔と快適さを保てれば良いので、「1日1回」などの断言はできません。夏は毎日でもいいですし、冬は1日おきでもいいでしょう。ただし、洗い過ぎると髪や地肌を守る皮脂も洗い落としてしまうので注意しましょう。

【商品の選び方】自分に合うものなら問題ナシ
自分に合うものなら、成分や値段、シリコン入り、ノンシリコンなど、どれを使っても大丈夫。最近流行のお湯のみで洗う「湯シャン」も、髪や頭皮に特別良いわけではありません。適量のシャンプーは使っても問題ありません。

【洗い方】指で優しく、が基本
指の腹でもみほぐすようにして洗います。爪を立てたり、ブラシのようなものでゴシゴシこすったりするのは良くありません。洗髪後、頭皮がヒリついたり、つっぱるような感覚があれば、回数・時間ともに洗い過ぎといえます。

【乾かし方】ドライヤーは短めに
熱風を長時間当てると、髪や頭皮が乾燥してトラブルの原因になります。短髪なら2分ほど、長髪なら5分ほどを目安にし、その分、タオルドライをしっかりと。「水分をきちんと拭き取れば、自然乾燥でもいいでしょう」(齊藤先生)


注意したいのは、病気や薬の服用による薄毛。

「病気の場合は、髪より病気の治療を優先します。薬の種類を変えたり、服用をやめたりすれば髪が生えてくることもあるので、『抜け方がいつもと違う』と感じたら、主治医や皮膚科医に相談を」(齊藤先生)


こんな病気や薬の飲み過ぎも薄毛の原因に

病気
・ 膠原病(全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など)
・ 甲状腺の病気(甲状腺機能低下症、バセドー病など)
・ 貧血(鉄欠乏性貧血)
・ 腎不全 
・ 糖尿病 ほか


・ 頭痛薬などの鎮痛薬
・ 胃薬 
・ 抗菌薬
・ 降圧薬(高血圧症などに使用)
・ 血流を回復させる薬
・ 脂質異常症の薬
・ ビタミンAのサプリメント ほか



【まとめ読み】特集「「白髪」「薄毛」の悩みを解決」記事リスト

取材・文/岡田知子 イラスト/糸井みさ

 

<教えてくれた人>
齊藤典充(さいとう・のりみつ)先生
米元皮膚科医院副院長。1993年、北里大学卒業、同大学病院皮膚科に入局。国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長、横浜労災病院皮膚科部長などを経て、2020年4月より現職。日本皮膚科学会の脱毛症に関する診療ガイドラインの作成に携わるなど脱毛症の治療・研究を牽引。

この記事は『毎日が発見』2020年8月号に掲載の情報です。
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