「あれ欲しい」待て自分! 家の中に「風を通して」わかったこと/大江千里のブルックリンでソロめし!

渡米以来、音楽活動の傍ら「ソロめし」の腕を磨いてきた大江千里さん。冷蔵庫にある食材で、毎回「これが最後のメシ」と思えるひと皿を、心を込めて丁寧に作る―。そして最高のお客様である「自分」をおもてなしするそうです。本書のレシピにはサイド・ミュージックが選曲されているため、料理を作りながら思わず踊りたくなってしまうかも?『ブルックリンでソロめし! 美味しい!カンタン!驚き!の大江屋レシピから46皿のラブ&ピース』より、選りすぐりのレシピ&エッセイをご紹介します。

※本記事は大江千里著の書籍『ブルックリンでソロめし! 美味しい!カンタン!驚き!の大江屋レシピから46皿のラブ&ピース』から一部抜粋・編集しました。

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欲しいなと思ったら家の中に「風の道」を

自分の中の物欲がムクムクと膨らむときがある。

そういうときはうちにいて窓を開ける。

風がそっと部屋に入ってくる。

アパートのドアを開けっぱなしにする。

すると「風の道」が家の中にできる。

風がやってきて去っていく道。

棚がもう一つ欲しいな、足をのっけるオットマンが欲しいな、半袖のシャツが欲しいな、電子レンジがあったら便利だろうな、そんな、ものが欲しいな、という気持ちが起こると、きっとその中のいくつかは本気なんだろうけれど、とりあえず、まずは家の中に「風の道」を作る。

風は僕の横を静かにすっと通り過ぎていく。

物欲があるときは心はそわそわしていて、あれをやったりこれをやったり落ち着かない。

まあ、一服やれや(タバコは吸わないけれど)。

ただぼんやりメールも見ないで、音楽だってかけないで、あくびをして、体を伸ばして、のんびり何もしない。

 

大江千里
ジャズピアニスト。1983年にシンガーソングライターとしてデビュー後、2008年、愛犬と共に渡米し、ニューヨークをベースに、世界各地でライブ活動を繰り広げている。執筆活動にも力を入れており、著書に『マンハッタンに陽はまた昇る――60歳から始まる青春グラフィティ』(KADOKAWA)ほか。

※本記事は大江千里著の書籍『ブルックリンでソロめし! 美味しい!カンタン!驚き!の大江屋レシピから46皿のラブ&ピース』から一部抜粋・編集しました。

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