「秘密の旅だからこそ趣味を追求」人気旅行作家が教える一人旅の楽しみ方

もうすぐ2020年。新しい年を迎えると、何か新しいことを始めたくなりますよね? そこでおすすめしたいのが、大人ならではの「一人旅」。好きなときに、行きたい場所へ、食べたいものを、一人で楽しむ。逆に言えば、とにかく「やりたくないことはやらなくていいという究極の自由さが魅力」だと人気旅行作家・吉田友和さんは言います。そこで、吉田さんの著書『泣かない一人旅』(ワニブックス)から、初めてでもできる「一人旅の楽しみ方とコツ」のエッセンスを連載形式でお届け。2020年は一人で大人の旅に出てみませんか?

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普段と違う髪型や服で旅する

自分だけの思い出がつくれるのが一人旅の魅力だ。

僕がSNSに投稿しないのは、それもひとつの理由といえるかもしれない。

同行者がいないのだから、どんな旅をしたか知るのは自分のみだ。

ならば誰にも言わず、SNSでも公開しなければ、その思い出を永遠に独り占めできる。

秘密の旅だからこそ価値がある──これぞ一人旅の究極の極意だ。

旅行というのは、見知らぬ土地へ行く行為であるから、秘密づくりにはまさに最適だったりもする。

自分のことを誰も知らない場所に身を置くのは結構快感だ。

お忍びなどと言ったら大げさだが、実際、知り合いにバッタリ会うようなこともない(絶対にないわけではないが......)。

いっそのこと、普段とは違うキャラづくりをしたっていいだろう。

それもまた一人旅だからこそ可能な芸当といえる。

たとえば、旅先で髪を切るのはオススメだ。

日々忙しくて、髪を切りに行く暇がないというような人なら、旅と散髪を同時に行えて一石二鳥。

現地の美容師さんと会話をする楽しみもある。

きっと素敵な旅の思い出になるはずだ。

あえて着替えを持っていかず、現地調達するのもいい。

服が違うだけでも、気分はガラリと変わる。

いわば、変装するような感覚である。

なんだかワクワクしてくるはずだ。

いつもと違う自分になりきることで、旅=非日常を心ゆくまで満喫するのだ。

着替えを持たないと荷物が減るのも利点である。

手ぶらは無理としても、カバンはなるべく小さなものがいい。

身軽な方が何かと好都合だし、一人旅の開放感も増すはずだ。

趣味をとことん追求しよう

秘密の一人旅では、誰かに気兼ねする必要はないし、すべてを自分の好き勝手にできる。

かくなるうえは、とことん趣味に走るといい。

ガイドブックに載っている名所を順番に巡るようなありきたりな旅ではなく、オリジナリティのある内容にするのだ。

たとえば、以前にプロ野球の試合を観戦しに一人で札幌まで行ったことがある。

クライマックスシリーズの重要な一戦だったが、九回裏、まさかの逆転満塁ホームランで幕を閉じたから、わざわざ飛行機に乗ってまで観に行った甲斐があった。

とはいえ、そこまで熱烈なファンというわけではなく、どちらかといえば北海道旅行の名目のようなところもあった。

寿司やラーメン、スープカレーなどなど、北の大地ならではの絶品グルメを味わいつつ、勝利の美酒に酔いしれる。

結構前の話だが、いま思い返してもあれは最高の旅だったと断言できる。

スポーツ観戦などは、趣味を追求した旅の典型例といえるかもしれない。

応援するチームがあれば、遠征先へ足を延ばすだけで価値がある。

この点、野球よりもサッカーファンの方が気合が入っている印象も受ける。

僕の友人にはサッカー好きの旅人が何人かいるが、彼らは国内はもとより、海外にまで勢いよく出かけていく。

2018年にはロシアでワールドカップが開かれたが、当たり前のように現地へ飛んでいる者が何人もいて感心させられた。

ロシアなんて北海道よりもさらに北の先ではないか。

あるいは、お城巡りなんかも個人的なライフワークのひとつだ。

歴史、とりわけ戦国時代が大好きで、小さい頃から小説やドラマなどに触れて育ってきた。

城跡というのはロマンがあって、天守がなくとも石垣や堀だけでも正直結構萌えるものがある。

憧れの武将たちが築いた城の跡地にたたずみ、在りし日の雄姿に想いを馳せる。

お城ならば全国各地にあるし、観光気分も味わえるため旅との親和性は高い。

城のほかに古戦場なども同様の楽しみ方ができるだろう。

そういえば、「お城EXPO」というイベントへ行ったときのこと。

その名の通り、お城をテーマにした展示会なのだが、2018年はどんぴしゃでクリスマスの時期の週末に合わせる形で開かれた。

「クリスマスにお城か......、来るのはきっともの好きな人だけだろうなあ」などという我が予想に反して、会場は大いに盛り上がっていて度肝を抜かれた。

お城ファンを侮ってはいけないのだ。

ほかにもアニメやゲームといったポップカルチャーに日常的に親しんでいるお陰で、作中に登場する舞台を訪問するような旅もたまに敢行している。

僕自身はオタク気質なところがあって、この分野にはとくに目がない。

たとえば、富山県の南砺市にP・A・WORKSという業界では有名なアニメスタジオがあるのだが、すぐそばに併設されたカフェで、作品とコラボした「コラボカフェ」が開催されるというので行ってみたことがある。

そういうきっかけでもないと、たぶん訪れることは一生なかったであろう街なのだが、自然に囲まれた風光明媚なロケーションに心を奪われた。

いわゆる聖地巡礼の旅は、趣味の度合いが一層強まる傾向がある。

「あの名作はこんなところでつくられたのだなあ......」と、身をもって理解する。幸せな時間である。

興味のない人にはまったくピンとこないだろうが、ファンにとっては忘れられない体験になるはずだ。

以上、いくつか事例を紹介した。

旅の目的というのは具体的であればあるほどいいと思う。

趣味を追求するような旅はとりわけ目的がわかりやすい。

いくつになっても旅行は楽しい「泣かない一人旅」記事リストはこちら!

泣かない一人旅.jpg旅の心得や楽しみ方、交通手段や宿の探し方まで、全10章で一人旅に必要な全てを解説。一人旅でなくても、プロが旅立つ前にする下準備は、とても参考になります

 

吉田友和(よしだ・ともかず)

千葉県生まれ。旅行作家。出版社勤務を経て、2002年初海外旅行ながら夫婦で世界一周を敢行。2005年に旅行作家として本格的に活動開始。主な著書に、『はじめての世界一周』(PHP研究所)、『自分を探さない旅』(平凡社)、『3日もあれば海外旅行』(光文社新書)、『東京発 半日旅』(ワニブックスPLUS新書)など。滝藤賢一主演でドラマ化された『ハノイ発夜行バス、南下してホーチミン』(幻冬舎文庫)も話題に。

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『泣かない一人旅―はじめてでも失敗しない、最高に楽しい―』

(吉田友和/ワニブックス)

「行きたいところに行ける」「料理注文で冒険できる」「やりたくないことは一切しなくていい」一人旅なら、この全てがかなう! ちょっと不安に思える「一人旅」のコツを、人気旅行作家がやさしく教えてくれる指南書です。はじめてでも失敗しない、最高に楽しい究極の大人旅へ。

※この記事は『泣かない一人旅―はじめてでも失敗しない、最高に楽しい―』(吉田友和/ワニブックス)からの抜粋です。
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