『毎日が発見』本誌で話題の、キルト作家・キャシー中島さんの新連載の第2回。普段「針を持たない」人も楽しめる「手軽な手作り」をお届けします。今回は、かつてキャシーさんのお母さまが着ていたきものを、息子の洋輔さんとともに、花柄の小物に仕上げました。
「もう着ることのない、思い出が詰まった母のきものがたくさん残っているの。捨てられないけれど、しまっておくには場所をとる...。そこで、毎日使える小物に直してみたんです」とキャシーさん。洋輔さんと一緒に愛らしい小物を作って見せてくださいました。まずはキャシーさんによる、美しいパッチワークが施された「花ポーチ」をご紹介しましょう。
たんすに眠ったままになっていたお母さまのきものの中から、キャシーさんが選んだのは、辛子色をした花柄の晴れ着でした。
「幼い頃、このきものを着た母と手をつないでよくお出かけしました。裾の方に広がったきれいな花柄が、まだ小さかった私の目の高さにあったのを覚えています」
ポーチは、思い出深いその花の部分を切り取って、モダンな木綿地とパッチワークでつないでいます。
「肌身離さず思い出を持ち歩けるのがうれしい。お守りのような存在になったわ」
■キャシー中島さん作
きもの地のまわりをパッチワークした「花ポーチ」
後ろ面の中央にも四角いきもの地を。前面と同様、周囲は細長い木綿地でパッチワーク。
「母のきものを並べて素材選び。思い出が蘇る楽しい時間です」
※花ポーチの作り方は、『毎日が発見』2019年8月号P102、104で紹介しています。
いっぽうの洋輔さん作のお出かけバッグも、キャシーさんのお母さまが着ていたきもの地を使ったもの。
「ちょっとおしゃれをしてレストランで食事を...。そんなときに持てるようにデザインしました。もともと晴れ着としておばあちゃんが着ていたきもの。柔らかく手触りの優しい絹素材ですから、ぴったりでしょう?」
葉っぱ模様に沿ったキルティングは、金色の糸で。見る角度によってほのかに光り、華やかさも伝わってきます。
「思い出を抱くみたいに、抱えて持つとすてき。両サイドに細いチェーンを付けてショルダーバッグにしてもいいですね。母にプレゼントしようかな」
■洋輔さん作
きもの柄に沿ってキルティング「お出かけミニバッグ」
裏地はストライプ柄の木綿で。表地とあえてイメージの差をつけて仕上げています。
裏面は細長い生地をパッチワーク。内側にう紙を重ねてあるので形が崩れません。
後ろを返すと大きな花模様! 花芯に金色の糸で刺しゅうをし、ビーズをぬい留めています。
※お出かけミニバッグの作り方は、『毎日が発見』2019年8月号P103~104で紹介しています。