【日本史豆知識】大坂万博を騒がせた、謎の「目玉おやじ」をご存知ですか?

教養として学んでおきたい「日本史」。でも「少しはみ出したエピソード」を知っておくと、とたんに話題が豊かになるかもしれません。そこで、オンライン予備校「スタディサプリ」の人気講師である伊藤賀一さんの著書『笑う日本史』(KADOKAWA)より、面白くてためになる、そんな日本史の話をご紹介します。

【日本史豆知識】大坂万博を騒がせた、謎の「目玉おやじ」をご存知ですか? P197イラスト.jpg太陽の塔の右目に立て籠もり!? 謎の目玉おやじが起こしたアイジャック

1970年4月、大阪万博会場の「太陽の塔」に、異変発生。なんと、高さ70メートルほどある塔先端の黄金の顔の右目に怪しい人影が確認されたのです。人影の正体は「赤軍」と書いた赤ヘルメットに青タオルの覆面、灰色の上着に黒ズボン。「何色かハッキリせい!」と言いたくなる、なんとも統一性のない格好の男。

男は「万国博をつぶせ」とアジ演説を開始。アンタのせいで、すでにブチ壊しですよ!?

このため、塔の周囲は2000人以上の野次馬で大混雑。大阪府警は約170人の警官を出動させ整理にあたりました。捕まえるには通路が狭く、目玉の中で押し合った場合、塔が泣......いや転落の危険も。警察・万博協会も説得する方針を固め、持久戦に。

黄金の顔の両目には直径約50センチメートル、5キロワットの電球が入っており、毎晩点灯しました。しかし、点灯で男が焼け死ぬおそれがあり、その間は中止に。

そして、翌日午前10時半、太陽の塔の設計者・岡本太郎が姿を見せます。「芸術は爆発だ!爆破せよ!」とでも言うのかと興味深々の周囲をよそに「いかすね。ダンスでも踊ったらよかろうに」「自分の作品がこういう形で汚されてもかまわない」。そう語り、目玉男をカメラで撮影。「聖なるものは、常に汚されるという前提をもっているからね」と、納得し去る。

さらに正午前、次は太陽の塔の下、母の塔の階段脇に別の男が。裸で髪はボサボサ、ひげ伸び放題で奇声を上げ奇行種の巨人のように暴走。ストレスだらけの警官隊にあえなく取り押さえられる珍事件も。結局、目玉男は以後も繰り返される説得にタップアウト。鬼太郎の目玉おやじとは違い入浴もできない籠城から8日目、ようやく逮捕。

<MEMO>アイジャック
1970年の大阪万博で、太陽の塔の先端の右目部分に男が籠城。4月26日から5月3日まで8日間も塔を占拠し、威力業務妨害及び建造物侵入の現行犯で逮捕された。犯人は本籍北海道、住所不定、25歳。逮捕後に、「赤軍」とは直接関係がなかったことが判明。どこまでもお騒がせ。

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イラスト/おほしんたろう

【日本史豆知識】大坂万博を騒がせた、謎の「目玉おやじ」をご存知ですか? cover.jpg縄文時代~平成に至るまで100の「笑える」エピソードを網羅!「合コンは古代から行われていた?」(弥生~古墳時代)、「森鴎外は極度の潔癖症で、超斬新な饅頭の食べ方をしていた」(明治~大正時代)など、つい誰かに話したくなるエピソードが満載です

 

伊藤賀一(いとう・がいち)

1972年京都生まれ。新選組で知られる壬生に育つ。洛南高校・法政大学文学部史学科卒業後、東進ハイスクールを経て、現在、リクルート運営のオンライン予備校「スタディサプリ」で高校倫理・政治経済・現代社会・日本史、中学地理・歴史・公民の7科目を担当。43歳で一般受験し、現在、早稲田大学教育学部生涯教育専修4年に在学中。著書・監修書に『世界一おもしろい日本史の授業』『「カゲロウデイズ」で中学歴史が面白いほどわかる本』『すごい哲学』(いずれもKADOKAWA)などがある。


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『笑う日本史』

(伊藤賀一/KADOKAWA)

「武田信玄が重臣に宛てたガチ恋ラブレターの現代語訳」「じつは戦に弱かった織田信長」「そんなに暴れん坊じゃなかった徳川吉宗」「西郷隆盛像と傍らにいるイヌのツンの作者は別人だった」など、意外と知らない「笑える日本史」を、スタディサプリの人気講師・伊藤賀一が紹介。「史実は小説より奇なり!」という言葉がぴったりの、笑えて教養も身につく注目の一冊です。

※この記事は『笑う日本史』(伊藤賀一/KADOKAWA)からの抜粋です。

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