この国だけが持つ「色彩」がある...写真家が語るカナダの魅力

写真家の吉村和敏さんが"第2の故郷"というカナダを30年かけて撮影した、集大成となる写真集『Du CANADA』。冬から始まり、春、夏、秋、そしてまた冬へと続くその構成は、ページをめくりながらカナダの一年を旅しているかのよう。圧倒的に美しさを誇る自然を旅してみませんか?

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ケベック州/7月 マドレーヌ島は砂が隆起してできた不思議な空間 

 
カナダは自然と人の暮らしがうまく結びついています

「カナダは1年の半分が冬なんです。11月から雪が降り始めて4月まで続く。5月にようやく春が来る。だから冬の国、雪国です。僕は冬こそ魅力がある国だと思ってます。カナダは空気感が違うんですよね。青空もシャキッとしていて、すごく青いし、大気も透明。それも、冬があるからこその魅力です。

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ノバ・スコシア州/5月下旬 丘陵地帯のアナポリス・バレーはりんごの花が満開になり、ようやく春が訪れる

 
カナダは観光の国ですから、夏は忙しいし、逆に冬は皆が冬眠しているかのように静かになる。長い冬の間に、人も自然もパワーとか美しさとかを蓄積して、夏に一気に解放する。そんな気がします」

この国だけが持つ「色彩」がある...写真家が語るカナダの魅力 Canada003.jpgケベック州/9月末~10月頭 ローレンシャン高原の"山が燃えているような"紅葉

 
吉村さんは20歳のときに写真家を志し、片道切符の航空券を手に単身でカナダに渡りました。カナダを選んだのは故郷の松本に似ていると感じたから。それから1年間、農作業などのアルバイトをしつつ大陸を旅し続け、撮影したといいます。その後、写真家として独立してからも何度となく訪れたカナダを第2の故郷といいます。

「カナダというと、ロッキー山脈やナイアガラの滝、プリンス・エドワード島、ローレンシャンが有名ですけど、ほかにもすてきな場所がたくさんあるんですよ。何しろ、世界で2番目に広い国ですから! でも意外と知られてないしマイナーな国。だからこの写真集で新しい魅力を発見してほしいですね」

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ノースウエスト準州/2月 年間約240日、オーロラを観測できる街・イエローナイフ

 

「カナダは圧倒的に緑が豊かですけど、カナダの人にとっては四季の美しさが当たり前だから、美しい景色にも無関心。興味がない。なぜ、日本人がわざわざ紅葉を見に来るのかが分からないそうですよ。それほど自然が日常の中にあるんです。カナダは自然と人の暮らしがうまく結びついています。僕は風景の中にさりげなく人の営みがある景色が好きなんです。民家や納屋、教会などを意識して撮影していたら、そのスタイルが自分の作風になりました」

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ニューファンドランド&ラブラドール州/6月 近海の村トゥイリンゲートに500個を超える氷山が流れ着く

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オンタリオ州/1月 ナイアガラの滝は、凍る年と凍らない年がある


写真/吉村和敏

 

 

吉村和敏(よしむら・かずとし)さん

1967年、長野県松本市生まれ。世界各国、国内各地を巡る旅をしながら撮影活動を続ける。『プリンス・エドワード島』(講談社)、『RIVER 木曽川×発電所』(信濃毎日新聞社)など写真集多数。


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『Du CANADA』

(吉村和敏/日経ナショナルジオグラフィック社)

3,200円+税

この記事は『毎日が発見』2019年7月号に掲載の情報です。

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