ウォーキングの途中に、季節によって彩りを変える草花を眺めるのも楽しいものです。美しい花を見かけたときにカメラやスマホで撮影する人も少なくないのでは? どうせ撮るなら、より美しく撮りたいですよね。プロのカメラマンにコツを教えてもらいました。最終回は逆光や背景のぼかし方などのテクニックです。
前の記事「「撮る角度で雰囲気をチェンジ!」/プロが教える"花の写真"のコツ/花の写真のコツ(2)」はこちら。
絞りを調節できずとも背景はぼかせます
写真の印象は、光によっても異なります。被写体に光が当たる「順光」が理想と思われがちですが、実は「逆光」でも面白い写真が撮れます。ぜひ挑戦してみてください。
プロの写真家は「背景ぼかし」というテクニックをよく使います。主要な被写体はくっきりと際立って見えて、背景がぼけている写真です。
背景ぼかしに重要となるのが「絞り(F値)」です。レンズにある「絞り」という機構を開いて、光を多く取り込めるように(F値を小さく)すると背景をぼかせます。逆に「絞り」の開口部を狭く(F値を大きく)すると、背景はぼけません。
この「絞り」を調節できるカメラであれば、自分の好みの度合いで背景をぼかした写真を撮れます。
ただし、コンパクトカメラの多くは絞りを調節できる範囲に制約があります。また、ほとんどのスマホは絞りは調節できません。とはいえ、上のようなちょっとしたコツさえつかめば、誰でも簡単に背景をぼかせます。新しい写真表現に挑戦してみましょう。
逆光もいい味わいをプラスします
光を効果的に取り入れましょう
被写体の後方から光が当たる"逆光"は写真が撮りにくいと思っていませんか? 実は、逆光だからこそ撮れるドラマチックな写真もあります。太陽に輝く木々や、透けて見える葉などをフレームに収めてみましょう。
真っ赤なアオキの実をクローズアップ。逆光によって、緑の葉が透けて見えるほど明るく撮れました。
小さな赤い実をつけるクロガネモチを見上げるように撮影。きらきらとした太陽の光もフレームに。
◎プロのひと工夫!
逆光で撮る場合は、太陽の光を反射させて撮りたいものに当てるレフ板が効果的。A4 サイズ程度の白い紙でも十分に役立ちます。
背景をぼかして、花の存在感を強調
デジカメで背景をぼかすには?
まず、撮りたい花と背景を離すことが重要。被写体にできるだけ近付く、あるいはズームで引き寄せて撮ると、背景をぼかしやすいです。高級機であれば、絞りを開く(F値を小さくする)ことでもぼかせます。
菜の花畑でくっきりと撮りたい花を手前に据えて、その花にピントを合わせて撮影。
下の写真のように、離れた場所からズームアップして撮影。雑然とした背景をぼかせた。
◎プロのひと工夫!
近寄って撮れる花でも、あえて離れた距離からズームで撮ると、背景を美しくぼかすことができます。
スマートフォンの「ポートレート」モードを使う
スマホの撮影モードに「ポートレート」があれば、それに設定して花を撮ってみましょう。本来「ポートレート」は、背景をぼかして人物が際立つように撮れるモードですが、花の撮影にも応用できます。
これはiPhone XS というスマホで「ポートレート」に設定して撮影した写真。デジタル処理によってぼけが作られるので、撮るものや背景との距離によっては、不自然なぼけ方になる場合もあります。
取材・文/村元正剛 撮影/桃井一至