7月3日(火)から、東京国立博物館(平成館)で、「特別展『縄文―1万年の美の鼓動」が始まり、話題を集めています。テーマは「縄文の美」。土器、土偶を中心に、縄文時代草創期から晩期まで日本各地の国宝や重要文化財など約200件を展示しています。
特に見逃せないのが、国宝6件。縄文時代の遺跡は9万件以上ありますが、出土品の中でも国宝はこの6件のみで、全てそろうのは今回の特別展が初めてです。縄文の人々の技や思いに迫りながら、1万年にわたる壮大な「美のうねり」を体感できます。
前の記事「いまお手本にしたい! 「縄文時代」に学ぶ美しい生き方(1)」はこちら。」はこちら。
"縄文の美"を極めた6件の国宝に
1万年の鼓動が息づいています
国宝 土偶 仮面の女神
展示期間:7月31日(火)~9月2日(日)
墓と思われる土坑群(どこうぐん)から出土。鎮魂と再生を祈るために埋納されたと言われ、仮面を着けた女性の巫者(ふしゃ)との説も。
長野県茅野市 中ッ原遺跡出土 長野・茅野市蔵(茅野市尖石縄文考古館保管)
国宝 土偶 縄文のビーナス
展示期間:7月31日(火)~9月2日(日)
安産や子孫繁栄を祈るために作られたと考えられています。力強く柔らかな曲線美は、縄文の人々の理想の女性美を表すかのようです。
長野県茅野市 棚畑遺跡出土 長野・茅野市蔵(茅野市尖石縄文考古館保管)
国宝 土偶 合掌土偶
展示期間:会期と同じ
「合掌土偶」という名は、座って胸の前で両手を合わせるその姿から。「『ポーズ土偶』ともいわれ、出産のシーンを表現したという説もあります。
青森県八戸市 風張1遺跡出土 青森・八戸市蔵(八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館保管)
国宝 火焔型土器
展示期間:会期と同じ
縄文時代中期の寒冷地で多く作られた、煮炊き用の立体的土器で、今回展示の国宝では唯一の土器。炎のような造形が圧倒的な存在感を放ちます。
新潟県十日町市 笹山遺跡出土 新潟・十日町市蔵(十日町市博物館保管) 写真: 小川忠博
国宝 土偶 縄文の女神
展示期間:会期と同じ
「八頭身美人」とも呼ばれるスタイリッシュな造形は、縄文土偶では希少。顔を表さず、性表現を抑えていることが、その神秘性を高めています。
山形県舟形町 西ノ前遺跡出土 山形県蔵(山形県立博物館保管)
国宝 土偶 中空土偶
展示期間:会期と同じ
高さ41.5㎝で、全身が現存する中空土偶では最大。「頭からつま先まで中空で薄手に作られた体、全身の精緻な文様など、高度な技術は必見!
北海道函館市 著保内野遺跡出土 北海道・函館市蔵(函館市縄文文化交流センター保管) 写真: 小川忠博
次の記事「縄文人の死生観~死は消滅ではありません。自然に還って存在し続けるのです(3)」はこちら。
取材・文/岡田知子(BLOOM)