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「一夜漬けの勉強」がうまくいかない理由
人間の記憶は、脳の海馬(かいば)という場所に保存されている。そして、記憶は大きく分けて短期記憶と長期記憶の二つに分けることができる。
まず「短期記憶」とは、メモ書き程度のすぐに忘れてもいい記憶のことである。海馬に一時的に保存されるが、基本的に1日や数日しかもたない。
一方「長期記憶」とは、長期間にわたって覚えている記憶のこと。海馬周辺の記憶の回路を繰り返しまわっているうちに、脳の表面部分に広がる大脳皮質で整理され、知識として定着していく。
たとえば、翌日に試験を控え、一夜漬けで覚えた内容は、通常、短期記憶となる。そのため、たとえ覚えた内容が試験に出て、その瞬間は救われたとしても、学習効果はあまり望めない。しばらく使わずにいると、すっかり忘れてしまうのだ。
ただし、記憶の回路は、繰り返し思い出すたびに保存し直される。つまり、一夜漬けの記憶でも、定期的に復習することで、長期記憶として保存されるようになるのだ。
また、覚えたことを長期記憶にするためには、十分な睡眠が必要である。アメリカのハーバード大学で行なわれた実験によると、睡眠には学習した記憶を強化する作用があり、学習した当日に睡眠をとらない場合、学習効果が失われてしまうことがわかっている。最近の研究では、勉強直後に60分程度の仮眠をとっても効果があるそうだ。
さらに、勉強したことを効率よく長期記憶に移すためには、書いたり、声を出して読んだりすることで、記憶はより定着し、必要なときに引き出しやすくなることもわかっている。