日本人が西洋人に比べてお酒に弱い理由/地球の雑学

日本人が西洋人に比べてお酒に弱い理由/地球の雑学 pixta_15202633_S.jpg地球はどうやって生まれたのか? 人間の身体の知られざる秘密など、思わずだれかに話したくなる理系のウンチク。本書『人類なら知っておきたい 地球の雑学』で、あなたの雑談を"スケールアップ"させませんか?

◇◇◇

前の記事「「低血圧だから朝に弱い」に医学的な根拠はない/地球の雑学(81)」はこちら。

 

日本人が西洋人に比べてお酒に弱い理由

お酒を飲み過ぎた人は、酔っ払って気持ち悪くなったり、二日酔いになったりする。これは世界のどこでも同じだが、じつは日本人は西洋人に比べてお酒に弱い人が多いのだという。

お酒として摂取したアルコールは、体内で酵素に分解されるが、毒性のあるアセトアルデヒドという物質が残る。このアセトアルデヒドが体の防御作用のすき間を抜けて、脳を軽い麻痺状態にする。これが「酔い」である。

だが、アセトアルデヒドはALDH2という酵素の働きで無害な酢酸となり、さらには二酸化炭素と水に分解される。こうして酔いが醒めるのだが、ALDH2には活性が強いタイプ、弱いタイプ、そして活性がまったくないタイプの三つの型がある。

お酒に強いといわれるのは、活性が強いタイプのALDH2を持っている代謝速度の速い人で、活性が弱いタイプ、まったくないタイプの持ち主は、お酒に弱いといわれる。

コーカソイド(白人)やネグロイド(黒人)は、ほぼ100パーセントが活性型のALDH2を持っており、低活性型や非活性型はいない。一方、非活性型はモンゴロイド(黄色人種)だけに見られ、特に日本人に多い。日本人は37~38パーセントが低活性型、6~7パーセントが非活性型だと考えられる。つまり日本人のおよそ半数がお酒に弱いということになるのだ。

体がアルコールを受けつけるかどうかは遺伝子のあり方によって違うのだから、無理して飲んだり、飲めない人に勧めたりするのはやめておこう。また、活性型のALDH2を持ち、お酒に強いといわれる人でも、アルコール依存症になるリスクはあるから要注意だ。

ところで、お酒を飲んで胃痛や吐き気がするのは、ALDH2の有無によるものではなく、胃壁がアルコールによって刺激されたため胃酸の分泌が増え過ぎ、軽い胃炎になっている状態。飲み過ぎの結果なので、自制するように心がけよう。

 

次の記事「長寿のカギを握る"命の回数券"テロメアとは?/地球の雑学(83)」はこちら。

※「地球の雑学」その他の回はこちら

日本人が西洋人に比べてお酒に弱い理由/地球の雑学 51dO13z00kL.jpg

人類なら知っておきたい 地球の雑学

(雑学総研/KADOKAWA)

眠れないほど面白い理系ウンチク212! 思わず誰かに話したくなる「理系のウンチク」を集めました。職場で家庭で、日々の「雑談」に役立つ、動植物・天体(太陽系)・人体・天気・元素・科学史など、「理系ジャンルネタ」が存分に楽しめる必読の一冊です!

 
この記事は『人類なら知っておきたい地球の雑学』からの抜粋です。

この記事に関連する「趣味」のキーワード

PAGE TOP