今回は、衣装デザイナーの岡本孝子さんに「裏もおしゃれなシンプルコート」の作り方を教えてもらいました。
さらっと羽織ると絹の裏地がのぞきます
ニット帽やスニーカーと合わせてカジュアルに。ボタンやファスナーがないので着脱もラクです。素材は麻柄の紬(つむぎ)。
裏地も表地同様にぬい目をほどき、四角い布に戻して使います。
脇にまちがあるので身幅はゆったり。着ているのは作者・岡本孝子さん(85歳)。
光沢のある無地の布が裏地。表地をしっかりと支える"見せる"見返しです。
年末のお出かけ時には共布で作ったストールも合わせて...
軽やかな着心地の、七分丈のシンプルコートをご紹介します。
デザインのポイントは、きものの裏地をえりぐりから前立ての裏側にぬい付けたこと。
裾先がふわりと返ったとき、その艶やかな色があえて見えるように作ってあります。
裏地は絹素材。
麻の表地との相性もよくおしゃれです。
さらに、裏地でおそろいのストールも作りました。
コートにプラスして、いろいろな着方を楽しんでください。
裏地は、前立ての縁から少しだけはみ出させ、表から見えるようにぬい付けます。コート全体のシルエットはゆったりとしたAライン。ストールをプラスするとフォーマルな雰囲気に。
絹のストールでおしゃれの幅が広がります
ストールの素材であるきものの裏地は、和装の粋なおしゃれの象徴。
普段は目に留まらないのに、裾が返ったときにちらりと見えるようにと、こだわった色選びがされています。
そんな裏地でストールを作って楽しみましょう。
巻いたり、垂らしたり、結んだり...。使い方でコートのイメージが変わります。
ストールは長方形。2枚合わせにした布の周囲をぬうだけなので作り方はとても簡単です。
タイのようにひと巻き
胸の前でひと結びさせ、ネックレスを合わせました。コートの前立ての縁にもおそろいの裏地がのぞいてすてき。
結び目を後ろに
ストールをラフに畳んで後ろできゅっと結びました。首が隠れるだけで暖かく、北風をよけられます。
えり元に沿わせて
コートのえりに沿わせるだけでも。いろいろな使い方ができるので、コートを作るのが難しい人は、ストールだけでも作ってみませんか?
華やかな蝶々結び
アクセサリーいらずの印象的な蝶々結び。2枚仕立てでハリ感があるので、形をきれいなまま保てます。
自身の部屋でミシンを踏む岡本さん。シンプルコートとストールもこの場所から生まれました。
作ってみましょう
材料
袷(あわせ)のきもの...1枚
接着芯...約40×130cm
シンプルコート
きものの表地と裏地を使います。
下図を参照して薄紙で実物大の型紙を作り、各パーツを裁ちましょう。
使うきものが決まったらまず、ぬい目をほどきます。
きもの地の裁ち方
四角い布に戻してから、各パーツを裁ちます。
※単位はcm
※□の数字はぬい代
数字がない箇所のぬい代は全て1.5cm
裏地の裁ち方
「コートの見返し」
裏地に接着芯を貼ってから裁ちます。寸法はきもの地の裁ち方図(上)を参照して表地とそろえます。
※単位はcm
※□の数字はぬい代
数字がない箇所のぬい代は全て1.5cm
*えりや身頃の裏地から裁つ
1 . 後ろ中心をぬう
2 . 後ろ身頃にまちを付ける
3 . 肩をぬう
4 . 見返しを付ける
5 . 袖を付ける
6 . 前身頃にまちを付け、袖下をぬう
7 . 袖口と裾をぬう
ストール
きものの裏地を使って作ります。
長さや幅はお好みで変えましょう。
裁ち方
取材・作図/飯田充代 撮影/木下大造 スタイリング/岡部久仁子 イラスト/小池百合穂