本誌連載陣らがおすすめする年末年始に読みたい良書。今回は、森永卓郎さんがすすめる「これからの人生を考える本」です。
森永卓郎さんがすすめる「これからの人生を考える本」
夢が膨らむ!新たな学びのススメ
『50歳からの人生が変わる痛快!「学び」戦略』前川孝雄/著 PHPビジネス新書 990円(税込)
少子高齢化の進展で、年金財政が厳しくなったため、政府は70歳までの継続就業を打ち出しています。
ただ、定年後にどんなセカンドキャリアを歩めばよいのか、悩んでいる人がたくさんいます。
官僚や政治家は、「リカレント教育(※)で、衰退産業から成長産業への円滑な労働移動」という机上の空論を振りかざすだけです。
そうした状況を私は心から憂慮しているのですが、セカンドキャリアの築き方について、具体的なヒントを与えてくれるのが、この本です。
著者は、リクルートで『ケイコとマナブ』や『就職ジャーナル』の編集長を務め、その後人材育成の会社を起業したプロフェッショナルです。
その著者が主張するセカンドキャリア選びの基準は明確です。
「好きな仕事をする」ということです。
長い間、家族の生活を支えるため、ストレスを抱えながらも、頑張ってきたのですから、高齢期くらいストレスのない楽しい仕事をすべきなのです。
※学校教育から離れて社会に出た後も、それぞれの人の必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返す、社会人の学びのこと。
現役行員が描く笑いと悲哀のリアルな記録
2022年刊『メガバンク銀行員ぐだぐだ日記~このたびの件、深くお詫び申しあげます』目黒冬弥/著 三五館シンシャ 1,430円(税込)
こちらは、現役のメガバンク行員が書いた、銀行員がやっている本当の仕事内容です。
大手銀行員というのは、バリっとしたスーツを着て、スマートな仕事をするエリートというイメージですが、実態は真逆であることが本書を読むとよく分かります。
おしゃれな仕事で高収入というのは、あり得ないのです。
コロナ禍以降日本経済のあるべき姿とは
2022年刊『コロナショック・ドクトリン』松尾 匡/著 論創社 1,980円(税込)
ショック・ドクトリンとは、惨事便乗型資本主義のことで、戦争や自然災害などの大惨事に乗じて行われる過激な市場原理主義改革を指します。
著者は、コロナショックに乗じて庶民の暮らしを破壊する構造改革がいま行われようとしていると主張しています。
新聞やテレビでは伝えられない真実が詳しく描かれています。
経済の専門用語が多数出てくるので若干難しいかもしれませんが、未来の日本を知るために、とても重要な示唆を与えてくれる本です。
取材・文/寳田真由美(オフィス・エム)