母親との関係を良好にする秘けつ
――こちらのページは「乗り越えていまがある」がテーマなのですが、窪さんの「乗り越えた」ご経験は?
いちばんは息子のことが大きいかな。
大変だったことは数え切れないほどあるんですけど、私は12歳で両親が離婚して、父の元に残ったので、母と会えなくなってしまったんです。
結構長い間、母親がいないことがコンプレックスでした。
でも、自分が母になってみて、「あの時、母はつらかったな」と理解できた瞬間があったんです。
子どもの目から見たら、自分を置いていったお母さんでしかなかったのですが。
だからいま、母との関係は悪くないですよ。
素っ気ないとよく言われるんですけど(笑)。
――ほどよい距離感ですね。
逆に母娘の距離が近過ぎて困っている方も多いようです。
そういう方は、お母さんのことを考えて、すごく真面目に付き合っていらっしゃるんだと思います。
母と娘の関係は、ちょっと冷たいぐらいがちょうどいいというか(笑)。
少し温度を下げてみるといいと思います。
スープが「冷める」ぐらいの距離でもいいんじゃないでしょうか。
――今後の人生の展望は?
子育てという大きなことが一段落したので、自分に言いたいのは「人間関係を豊かにした方がいいんじゃない?」ですね。
ママ友とわいわいやっている時期でもないし、友人も介護で忙しかったり、なかなか難しいじゃないですか。
ゆるくつながっている人を増やしていきたいですね。
――窪さんご自身の「母の恋愛」はいかがですか?
縁遠いです(笑)。
50代も半ばになると、そういうこともなく、ひとり引きこもって小説を書いているだけなので。
もうちょっと、そういうことも含めて、ゆるくつながれる人がいるといいなと思います。
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取材・文/多賀谷浩子 撮影/中林 香