「母と娘の関係は、ちょっと冷たいぐらいがちょうどいい(笑)」作家・窪美澄さんインタビュー

母親との関係を良好にする秘けつ

―こちらのページは「乗り越えていまがある」がテーマなのですが、窪さんの「乗り越えた」ご経験は?

いちばんは息子のことが大きいかな。

大変だったことは数え切れないほどあるんですけど、私は12歳で両親が離婚して、父の元に残ったので、母と会えなくなってしまったんです。

結構長い間、母親がいないことがコンプレックスでした。

でも、自分が母になってみて、「あの時、母はつらかったな」と理解できた瞬間があったんです。

子どもの目から見たら、自分を置いていったお母さんでしかなかったのですが。

だからいま、母との関係は悪くないですよ。

素っ気ないとよく言われるんですけど(笑)。

――ほどよい距離感ですね。

逆に母娘の距離が近過ぎて困っている方も多いようです。

そういう方は、お母さんのことを考えて、すごく真面目に付き合っていらっしゃるんだと思います。

母と娘の関係は、ちょっと冷たいぐらいがちょうどいいというか(笑)。

少し温度を下げてみるといいと思います。

スープが「冷める」ぐらいの距離でもいいんじゃないでしょうか。

――今後の人生の展望は?

子育てという大きなことが一段落したので、自分に言いたいのは「人間関係を豊かにした方がいいんじゃない?」ですね。

ママ友とわいわいやっている時期でもないし、友人も介護で忙しかったり、なかなか難しいじゃないですか。

ゆるくつながっている人を増やしていきたいですね。

――窪さんご自身の「母の恋愛」はいかがですか?

縁遠いです(笑)。

50代も半ばになると、そういうこともなく、ひとり引きこもって小説を書いているだけなので。

もうちょっと、そういうことも含めて、ゆるくつながれる人がいるといいなと思います。

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取材・文/多賀谷浩子 撮影/中林 香

 

作家

窪 美澄(くぼ・みすみ)さん
1965年、東京都生まれ。2009年に『ミクマリ』が第8回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞し、作家デビュー。山本周五郎賞を受賞し、映画化もされた『ふがいない僕は空を見た』をはじめ、直木賞候補となった『じっと手を見る』『トリニティ』など著書多数。

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『ははのれんあい』

(窪 美澄/KADOKAWA)

1,700円+税

優しい夫と結婚し、長男が生まれ、幸せな家庭を築いていた由紀子。ところが、双子の次男・三男が生まれた頃から、夫婦の関係が変わり始める。壊れかけた家族を救ったのは、高校生になった長男だった――。現代の家族のほころびと再生を描く、希望の物語。

この記事は『毎日が発見』2021年3月号に掲載の情報です。

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