認知症の予防作用も⁉ 獣医師に聞いた「猫を飼うことの健康効果」/家ねこ大全(18)

「いまの鳴き声はどんな意味?」「なんでいつも、ごはんをちょっとだけ残すの?」など、猫の行動にはミステリアスなところがたくさんありますよね。そこで、SNSで人気の獣医師・藤井康一さんの著書『現役獣医師が猫のホンネから不調の原因までを解説! 家ねこ大全285』(KADOKAWA)より、フードやトイレなど暮らしのコツや、不調や病気に関する医療情報など、猫についての最新情報をご紹介します。

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Q.メンタルケアにもなるってホント?

A.子どもが悲しい思いをしたとき家族や友だちよりもペットと一緒が落ち着く


ペットに関する研究が進み、さまざまなよい影響がわかってきました。

子どもの心理面に与える次のようなメリットを紹介しましょう。

●PTSDへの対応
動物と一緒に暮らしているとPTSD(心的外傷後ストレス障害)に陥りにくい。怖い思いをした後、家族や友だちといるより、動物と一緒のほうが、心が落ち着く。

●責任感や思いやり
小さい頃から動物に接していると責任感や他人に対する思いやりが育まれる。動物を飼っている子どものほうが認知力、社会性、運動能力の発達が早い。子どもの相棒として、猫や犬と一緒に暮らすことをぜひ考えてみてください。

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Q.高齢でも猫を飼うのはいい?

A.変化に富むペットとの暮らしは、高齢者の運動不足や認知症の予防作用がある


最後は、猫と高齢者の関係について見てみましょう。

ペットを飼っていない高齢者が配偶者を亡くすと病院へ行く回数が増える傾向にあるのに対し、ペットを飼っている高齢者が病院へ行く回数に変化がなかった、という調査結果があります。

【ペットを飼ってよかったことを調査した結果】
(50~80歳のペット所有者を対象にしたアメリカのミシガン大学の世論調査〈複数回答可の結果)

・ストレスを軽減してくれる 79%
・目的意識がつく 73%
・他人とつながる 65%
・活動的になる 64%
・体や心の症状をよくする助けになる 60%

動物たちと目が合うことに意味があり、それにより「愛情を感じられている」と認識するそうです。

猫の場合、犬のように毎日一緒に散歩をすることはありませんが、ペットと遊ぶことで運動不足の解消につながるのも事実です。

日々変化する猫の成長や毎日見せてくれるさまざまな表情、しぐさは脳へのよい刺激にもなります。

日本は高齢者が動物を飼いにくい環境にありますが、認知症の予防にもペットが有効だと注目されるなど、一緒に暮らすメリットはたくさんあります。

①離れて暮らしている家族が責任を持てるシステム、②人の生命保険を動物の治療にも使える、③飼主が亡くなった後に猫の面倒をみてくれる、など制度の確立が望まれます。

イラスト/柴田ケイコ

ほかにも書籍では、フードやトイレなどの「猫との暮らしのコツ」や、不調や病気に関する「医療情報」など、猫に関する285の最新情報が分かりやすく解説されていますので、興味がある方はチェックしてみてくださいね。

【まとめ読み】『家ねこ大全285』記事リスト

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藤井康一(ふじい・こういち)
藤井動物病院院長、獣医師、獣医学修士、博士(学術)、経営管理修士。2011年にツイッターを開始。多くの飼い主さんに「こんなことに注意をしてもらえれば」という現役獣医師ならではの最新情報を発信したところ、「困っていたときに役立った」と評判に。フォロワーは5万人超える(2020年7月現在)。

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『現役獣医師が猫のホンネから不調の原因までを解説! 家ねこ大全285』

(藤井康一/KADOKAWA)

猫好きの方は、大好きだからこそ猫のミステリアスな部分をもっと知りたいですよね。さまざまな行動が意味する猫の気持ちや不調のサインなどをSNS上で人気No.1の獣医さんが解説しています。ちょっとした豆知識から、近年注目されている「猫のうつ」など最新の病気の治療まで、猫のことがすべてわかる一冊です!

※この記事は『現役獣医師が猫のホンネから不調の原因までを解説! 家ねこ大全285』(藤井康一/KADOKAWA)からの抜粋です。

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