「なんだかやる気がでない」「家事に集中できない」「最近物忘れが多い」...こんな悩みを抱えていませんか? 実はその悩み、脳がときめくことで解決できるかもしれません。これまで1万人以上の脳の病気の患者さんをみてきた築山節先生に、その秘訣を教えていただきました。
脳の正しい扱い方を知って、一生枯れない脳を手に入れましょう
「脳は大別すると、生きる中枢の脳幹、感情や欲望の中枢である大脳辺縁系、理性の中枢である大脳新皮質の三層があります。これらを扱うには、常に脳を安定させておく努力が必要です。脳というのは、自然と安定しているのではなく、努力を怠ればすぐに不安定になるもの。まずはこれを覚えておきましょう」。
【脳の三大構造】
●生命の土台となる「脳幹」
眠りと覚醒、心臓、呼吸、自立神経などの中枢があり、生命を維持するための土台。脳機能にとって最も大切なのは、この脳幹の機能を正常に保つことです。
●感情を司る「大脳辺縁系」
欲望と感情に関わる情報処理の中枢。記憶と空間認識の機能に関係する海馬や偏桃体を含みます。大脳新皮質と双方向に通信することで、今それを行うべきことか否かという情報を受け取り、機能的に制御します。
●理性を司る「大脳新皮質」
理性の中枢。なかでも前頭葉は、複雑で高度な認知機能を発揮する脳の最高司令官。「考える力」を一手に担い、変化する世界に対応しています。
では、脳を安定させるにはどうしたらよいのでしょう?
「脳が安定しているとは、自分をいかにコントロールできているかということです。そのためには、脳の正しい扱い方を知りましょう。脳を樹木に例えると、根(脳幹)があり、枝(大脳辺縁系)先には葉や花(大脳新皮質)があります。樹木の根に当たる脳幹がもしも環境に適応できなければ、枝や葉である大脳辺縁系や大脳新皮質は枯れてしまいます。樹を枯らさないためには、まず、根である脳幹を守ることが大前提。そのうえで、脳が喜ぶときめきを与えて大脳辺縁系と大脳新皮質のバランスを保つよう心がければ、脳は幾つになっても衰えることはありません」。
脳を健康に保つには、脳の正しい扱い方を身に付けることが必要です。この機会に、頭が冴える習慣を身に付けましょう。
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築山 節(つきやま・たかし)先生
公益財団法人河野臨牀医学研究所附属北品川クリニック所長。脳神経外科専門医として数多くの診断治療に携わる。主な著書に『定年認知症にならない 脳が冴える 新17の習慣』(集英社)、『脳と気持ちの整理術』(NHK出版 生活人新書)など。