心臓を刺激して拍動を促す。「ペースメーカー」の効果と注意点/やさしい家庭の医学

pixta_29425877_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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心臓の拍動を司る洞結節の代理機器
「ペースメーカー」

●本体とリードからなる

心臓は、体全体に血液を送り出すためのポンプの役割を果たしています。心臓は1分間に60~80回、1日では約10万回以上もの拍動(はくどう)を繰り返すことによって、血液を全身に送り出しているわけです。

この、心臓の拍動を起こす電気刺激をつくり出しているのが、心臓の右心房付近にある「洞結節(どうけっせつ)」という部分なのですが、この洞結節に障害があると正常なリズムで心臓を動かすことができなくなってしまいます。

この洞結節や、洞結節からの刺激を伝える伝導経路に障害があるときに必要になるのが「ペースメーカー」という精密機器です。

ペースメーカーは、本体と、心臓の電気信号を感知したり電気刺激を伝えるためのリードと呼ばれる部分で構成されています。

本体の表面はチタンでできており、中には頭脳ともいえる制御回路や電源である電池が入っています。電池の寿命は、その出力によって異なりますが、一般的には約10年とされています。重さは20グラム前後です。

リードは、先端部分に電極があり、その部分が心臓の筋肉に接することによって電気刺激が伝えられます。ペースメーカーは、本体とリードの両方が、手術によって完全に体内に植え込まれることになります。

 

【ペースメーカーのしくみ】

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ペースメーカーを心室の中に植え込むことによって刺激を与え、収縮を促す。洞結節は「自然のペースメーカー」で、ここからの刺激が心筋に伝わり、心室が収縮することになる。

 

ペースメーカーの植え込み手術には二つの方法があります。一つは、鎖骨(こつ)の下を通る静脈にリードを挿入して心臓の中に繋(つな)げ、本体は胸部(鎖骨の下の辺り)に植え込むという方法で、もう一つは、心臓の表面に心筋電極を直接固定する方法です。

後者のケースでは、通常本体は腹部に植え込まれ、静脈からリードが繋げられないという場合や、成長期にある子どもの場合などに採用されている方法です。

ペースメーカーの植え込みにおいては不安を感じる患者さんも多いと思われますが、日常生活や旅行、ジョギング・テニス・ゴルフなどの運動をしても何の支障もありません。むしろ、ペースメーカーを植え込むことによって徐脈(じょみゃく-脈が遅くなること。不整脈)が正常に近い状態に回復し、それまで送っていた日常生活を取り戻すことも可能になります。

ただし、ペースメーカーはあくまで精密機器ですので、日常生活の中に飛び交う電磁波の影響を受けて誤作動をきたす恐れもあります。影響の程度はさまざまありますので、医師の説明をよく聞いたうえで行動するようにしましょう。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。


 

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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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