自分にぴったりの眼内レンズはどれ?
手術は日帰りも可能で年齢による制限も特にありませんが、手術の時期や眼内レンズの種類は慎重に考える必要があります。
「大きく分けて単焦点レンズと多焦点レンズがあります。単焦点は1カ所にピントが合い鮮明ですが、ピントが合わない距離では眼鏡が必要。多焦点はピントの合う位置が多いのでおおむね眼鏡なしの生活ができて便利ですが、鮮明さは単焦点に劣ります。夜間の運転がしづらいなどのデメリットも」と平松先生。
手術後の見え方について
眼内レンズの特徴は?
【単焦点レンズ】
費用の目安(片目):3万~5万円(保険適用可)
焦点が合う距離:5m以上
特徴:遠くははっきり見える。携帯電話・タブレットなど近くにある物はぼやけて見えるため、老眼鏡が必要となる。
費用の目安(片目):3万~5万円(保険適用可)
焦点が合う距離:1m前後
特徴:近い距離も遠い距離もぼやけるもののまずまず見えるが、はっきりと見るためには遠近両用眼鏡が必要になる。
費用の目安(片目):3万~5万円(保険適用可)
焦点が合う距離:30~40cm
特徴:手元は眼鏡を使用せずにはっきり見える。遠くの時計・風景などの見え方は弱いため、遠方用の眼鏡が必要。
【多焦点レンズ】
費用の目安(片目):3万~5万円(保険適用可)
焦点が合う距離:遠方~70cm
特徴:鮮明度は落ちないが手元はよく見えないので、手元を見るときは眼鏡が必要。多焦点レンズで保険適用。
費用の目安(片目):15万~35万円(一部保険適用可)
焦点が合う距離:遠方から中間(50~60cm)
特徴:単焦点レンズほど鮮明度が高くなくてもよいが、もう少し広い範囲が見たい人や夜間の光の見え方の不具合(グレア・ハロー)が少ないほうを希望する人向き。細かい作業などでは弱い老眼鏡が必要となる。夜間運転が多い人におすすめ。高額。
費用の目安(片目):15万~35万円(一部保険適用可)
焦点が合う距離:遠方・中間・近方の計3焦点
特徴:手元から遠くまでおおむねピントが合うため、眼鏡を使用しなくても生活しやすい場合が多い。夜間は光の見え方の不具合(グレア・ハロー)がある。高額。
費用の目安(片目):50万~100万円(保険適用外)
焦点が合う距離:遠方・遠中・中間・中近・近方の計5焦点
特徴:積極的に先進医療を受けたい人向け。新しいレンズなので、手術の事例が少ない。海外メーカー品なのでトラブルがあった場合対応に遅れが生じやすい。全額自費なので高額。
手術の主な方法
(1)点眼麻酔後、メスで角膜を2~3mm切開し、さらに前嚢(水晶体が入っている袋の前面)を切り開く。
(2)水晶体に超音波を当てて砕き、吸引して取り除く。
(3)眼内レンズを入れて、固定する。
取材・構成・文/古谷玲子 イラスト/ノグチユミコ