「整体」と「接骨院」の違い説明できますか? 覚えておきたいそれぞれの対象範囲と使い分け

●接骨院(もしくはほねつぎ)

国家資格である柔道整復師のみに開業が認められています。柔道整復師の国家資格は柔道整復師を養成する大学または専門学校(最短3年間)を修了し、国家試験に合格することで取得できます。

整骨院という呼び方をされることもありましたが、現在では整骨院の名称を禁止し、「接骨院(またはほねつぎ)」のみを認める厚生労働省案が検討されています。

接骨院では、外傷によるねんざや打撲に対する施術、骨折・脱臼の応急処置を行います。変形性関節症や五十肩のような慢性疾患を扱うことはできません。

骨折、脱臼、打撲、ねんざといった急性外傷の処置には、健康保険が適用されます。骨折、脱臼については、柔道整復師法第十七条において、施術に対して医師の診察に基づく同意が必要とされています(応急処置は除く)。

●整形外科

国家資格である医師が診察にあたります。医学部で6年間学び、国家試験に合格したのちに初期研修を2年間行い、整形外科医になることができます。

整形外科専門医を所持するためには、そこから最低4年間は認定研修施設で働き、必須14分野の研修受講、学会発表、論文発表をこなしたのちに専門医試験に合格する必要があります。

整形外科では、骨・関節・筋肉や腱・首から下の神経(末梢神経)・脊椎(せきつい)脊髄(せきずい)などの広い範囲が対象で、診察による理学所見とX線やエコー、CT、MRI等の検査をもとに診断し、症状や病態にあわせて投薬、注射、手術、リハビリテーション等で治療します。

診断行為や多くの治療、診断書の発行などは、医師しか行うことができません。基本的には保険が適用できますが、一部自費診療の治療もあります。

このように整体・接骨院・整形外科では、扱える症状・病気が大きく異なります。このことを踏まえたうえで、自分に今必要なものは何なのかを考えてみてください。

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参考文献:厚生労働省「医業類似行為に対する取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/061115-1a.html

 

おると
整形外科専門医。診療にあたりながら、自身の転職経験をもとにしたブログ「フリドク」やX(旧Twitter)を2018年より開始。正しい医療をわかりやすく発信するスタイルや世間のネットニュースについての専門医目線での解説、ニセ医療解説などが大きな反響を呼び、現在12万人を超えるフォロワーを有する(2024年2月時点)

※本記事はおると著の書籍『整形外科医が教える 家族の身体を守る医学的ライフハック』(KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました。
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