ペット&グルメブームの影で...動物と人が共通感染する「寄生虫症」/やさしい家庭の医学

pixta_19558289_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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寄生虫によって人が感染する病気
「寄生虫症」

●ペットブームやグルメブームの影で

衛生状態が良好な現在の日本では、かつて高い感染率を誇っていた回虫症や蟯虫(ぎょうちゅう)症が見られることは少なくなりました。ですが、ペットブームやグルメブームなどの影響により、トキソプラズマ症やアニキサス症など、動物と人間が共通して感染する「寄生虫症」が増加傾向にあります。

トキソプラズマ症は、動物の便や鶏肉、豚肉などに含まれるトキソプラズマ原虫の感染によって起こるもので、日本国内では成人の約10%前後が感染しているという報告もあります(千葉県獣医師会ホームページによる)。感染しても無症状のことも少なくありませんが、発症すると発熱や発疹(ほっしん)などが起こり、免疫不全状態の人では症状が重症化することもあります。
 
アニキサス症は、アニキサスという線虫を食べた魚介類を生で食すことで起こるもので、寿司や刺身などを好む日本人に古くから見られる病です。アニキサス症は1匹の幼虫による感染であっても起こる可能性があるものですので、これを避けるには生食を控えるほかはありません。
 
アニキサス症が起こりやすいのは、漁期の関係により12月から3月の寒い季節とされ、サバやイカ、アジなどを生で食べることによって罹(かか)ります。体内に取り入れてから2~8時間ほどで発症し、腹痛や嘔吐(おうと)、下痢といった症状が見られますが、その後、回復に向かいます。
 
なお、この症状に罹ったとき、胃や腸には潰瘍(かいよう)性の好酸球性肉芽種(こう
さんきゅうせいにくげしゅ)というものができますが、重症化しなければ自然に治っていきます。
 
そのほか、寄生虫症にはエキノコックス症(キツネやイヌに寄生する条虫)、肺吸虫(はいきゅうちゅう)症(カニなどに寄生する肺吸虫の幼虫)、肝(かん)吸虫症(コイや淡水の貝などに寄生する肝吸虫の幼虫)などがありますが、魚介類や肉類を生で食べる際に十分に注意し、また、ペットと接する際にも濃厚な接触を控え、排泄(はいせつ)物を処理したあとには手洗いを十分にするなどして気をつけるようにしましょう。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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