発作と不安の無限ループ「パニック障害」から抜け出すには?/やさしい家庭の医学

pixta_35922862_S.jpg病気やけがをしたとき、それに関する用語(病名・症状など)の意味をそもそも知らなかった、なんてことはありませんか? また、時代の流れとともに「ADHD」「ノロウィルス」など新しい用語もどんどん現れています。

書籍『やさしい家庭の医学 早わかり事典』で、病気や健康分野の正しい知識を身につけ、いざというときに役立てましょう。

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理由もなく強い不安や恐怖に襲われる
「パニック障害」

●ストレスを軽減する対策を
「パニック障害」(パニック症)とは、理由もないのに「気が変になってしまうのではないか」とか「このまま死ぬのではないか」などと、強い不安に襲われてしまう状態のことです。突然動悸(どう)がしたり、発汗、ふるえ、胸部の不快感、息苦しさなどに駆(か)られ、病院で診てもらうものの体には何の異常も見当たらない。そんなときは、この病気の疑いがあるかもしれません。

パニック障害になる原因は特定されていませんが、恐怖や不安に関係しているとされる神経伝達物質のノルアドレナリンと、興奮を抑える神経伝達物質のセロトニンとのバランスが保たれていないことが発症の理由と考えられています。これは、脳内のセロトニンを増やす治療をすると症状が改善傾向に向かうことから推測されているものです。
 
この症状の診断方法としては、先述のもののほか、手足のしびれ、めまいやふらつき、体に冷たい感じやほてりがある、なども挙げられます。手足のしびれの場合は、パニック発作を起こしたことによる過換気状態になっていることによるものと考えられますので、ポリ袋や紙袋で口と鼻を覆(おお)い、静かに息をするようにすると治まることが少なくありません。
 
パニック障害の初期症状はパニック発作と呼ばれています。発作は先述のような症状(動悸や発汗など)で、10分以内に頂点に達したあと20~30分で治まりますが、その後何度かこのような発作を繰り返すうちに、「また発作を起こしたらどうしよう」という強い不安や恐怖に襲われるようになります。これを「予期不安」といいます。
 
また、予期不安の状態が進むと、大勢の人がいる場所や閉塞(へいそく)された場所などで発作が起こることを避けるようになり、外出することが困難になる場合もあります。これを「広場恐怖(外出恐怖)」といいます。

 

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この、パニック発作、予期不安、広場恐怖のサイクルを繰り返すうちに、人前に出ることに強い不安や恐怖を覚えるようになると、うつ病に進行することもないわけではありません。心療内科や精神科の医師に相談するのが治療の最善策といえます。

なお、医師に診断を受けるとSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの薬剤を処方されることがありますが、薬を飲むことによって、かえって症状が悪化する場合もなくはありません。できるだけ薬に頼らず、ストレスなどを軽減する生活を送るようにするほうがよいかもしれません。

 

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中原 英臣(なかはら・ひでおみ)

1945年、東京生まれ。医学博士。ニューヨーク科学アカデミー会員。東京慈恵会医科大学卒業。77 年から2 年間、アメリカ(セントルイス)のワシントン大学にてバイオ研究に取り組む。その後、山梨医科大学助教授、山野美容芸術短期大学教授を経て、現在、新渡戸文化短期大学学長、早稲田大学講師。おもな著書に『ウイルス感染から身を守る方法』(河出書房新社)、『こんな健康法はおやめなさい』(PHP 研究所)、『テレビじゃ言えない健康話のウソ』(文藝春秋)などがある。

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『やさしい家庭の医学 早わかり事典』
(中原英臣[監修]/KADOKAWA)


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この記事は書籍 『やさしい家庭の医学 早わかり事典』からの抜粋です

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