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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
「交感神経」と「副交感神経」のセットで働く体のオートパイロット
検査数値はいたって正常なのに、何だか体調が悪く、医者から「自律神経失調症ですね」と言われたことはありませんか? そのとき医者は、「自律神経のバランスが崩れているかもしれませんね」とつけ加えたかもしれません。
自律神経とは、心臓を動かしたり体温を調整したりする神経系のことです。要は意思の及ばない体内のさまざまな活動を、うまくコントロールしてくれているのが自律神経です。
呼吸、循環(血液によって細胞に酸素と栄養素を運び、二酸化炭素と老廃物を排泄する器官系)、体温調節、発汗、消化(食べたもの・飲んだものを胃や腸から吸収できるように、各種の消化液によって分子レベルまで分解すること)、代謝(栄養成分を元にして起こる体内の化学反応)、内分泌(ホルモンを血液やリンパ液などに分泌すること)、生殖機能などはすべて自律神経によって調整されています。
この自律神経は、相反する2種類の神経系―「交感神経」と「副交感神経」が対になって働いています。
最近はテレビの健康番組などでも、けっこう紹介されているので、すでにご存じの方も多いと思いますが、起きているときや興奮状態にあるとき優位に働くのが「交感神経」で、寝ているときやリラックスしているときに優位に働くのが「副交感神経」です。この2つの神経は、オンとオフのスイッチ、車で言うならアクセルとブレーキの関係によく似ています。
手足を動かすなど体の動きをコントロールするのは運動神経で、これは自分の意思が働いています。けれども、自律神経は意思とは関係なく働きます。だからこそ、たとえば心臓などの筋肉は、ずっと拍動し続けられるわけです。
ところで、この自律神経は、ストレス負荷にめっぽう弱いという特徴があります。つまり、ストレス負荷→自律神経のバランスの崩れ→交感神経の緊張→体がパニックとなり、体調を本格的にくずすきっかけになるかもしれないのです。
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岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
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(岡本 裕/KADOKAWA)
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