多くの人が悩みを抱えている認知症や物忘れ。年齢と共に記憶力も低下しがちですが、実は脳の老化を止める脳内物質が存在します。記憶力アップに効果的なマッサージも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1,000億個の細胞ネットワーク
昨年9月放送の「名医とつながる! たけしの家庭の医学」(テレビ朝日系)で取り上げられたのは、脳の老化に関するメカニズム。人間の脳には神経細胞が1,000億個以上あり、これらが相互につながることで記憶を引き出す「ネットワーク」のような役割を果たしています。
物忘れを引き起こすのは、このネットワーク機能が低下するから。人の記憶は神経細胞ごとにしまわれており、名前や特徴などの部屋に分かれています。何かを思い出そうとしたときに部屋がつながって情報を引き出すのですが、脳が老化すると神経細胞同士をつなぐ道が切れて伝達が困難に。
これを修復してくれるのが「NGF」という脳内物質です。NGFがあれば脳の神経組織が維持できるうえ、ネットワークも瞬時につながるように。通常NGFは加齢とともに減少するため、昨今の医学界では、どうやったらNGFがたくさん出るのかという研究が注目を浴びています。
手の刺激が脳に届く
番組では東京都健康長寿医療センターの堀田晴美先生を取材しました。堀田先生は20年以上の実績を持つ脳の第一人者で、NGFに関する研究で日本自律神経学会の学会賞も受賞。
先生は、NGFを増加させるポイントは脳の血流をよくすることだと語りました。おすすめなのが、手のひらをタオルで1日1回10分ほど刺激するだけの「手のひらタオルマッサージ」。手のひらには感覚神経が密集しているため、手足など末端の皮膚を刺激するとその刺激が伝わり脳が活性化するのだそう。
やり方は、タオルを両手のひらに挟みこすり合わせるだけ。このとき強くこすり過ぎないのがポイントです。物忘れに悩む60代男性が試したところ、脳内のNGF量が初日の2.6から4日目には3倍以上の8.0にまで増加。番組を見た視聴者の中にも「うちの義母も末端を刺激したら認知症が改善した。やっぱり効くんだね」「確かに手を使う職業の人は記憶力がいい気がする」など、末端神経を刺激する効果を感じていた人から続々と共感の声が上がりました。
認知症は若いうちから予防しておきたいもの。「手のひらタオルマッサージ」は短時間でもできるので、記憶力が気になる人は脳を刺激してみては?