日本の死亡原因トップの"がん"。2015年には、厚生労働省が「がん対策加速化プラン」を発表。各市町村で、がんへの取り組みが急務となっています。そのなかでも、特徴的な取り組みを行っている自治体の例をご紹介しましょう。
山形県は、胃がん、大腸がん、肺がんの検診受診率(2013年)が1位、乳がん、子宮頸がんの検診受診率も2位と、高い順位を記録。とはいえ、受診者数が半数に満たなかった検診も。そのため県内の市町村では、さらなる啓発活動とともに、受診対象者に対し、受診意向調査を実施し、未受診者には直接受診を勧めるなど、未受診者をなくすことに重きを置いた活動に力を注いでいます。
佐賀県では、2014年からコンビニ健診を開催しています。来場者はコンビニで受付を済ませ、検診車内で受診。医療機関に比べ、気軽に参加できるとあって、住民の反応は良好。開催の度に申し込み者が殺到するほどとか。また、2016年2月には、県内の中学3年生全員の約9000人を対象に、胃がんの主な原因とされるピロリ菌の感染検査の実施を発表。検査はあくまで任意ですが、本人の了解を得た上で学校健診の尿検査の試料を用いて実施。感染が見つかった生徒は、除菌のための治療費を県が助成するシステムに。新たな取り組みにより、がんの予防や早期対策法の浸透が期待されます。
医療施設が身近な広島県
静岡では「よろず相談」も
がんによる死亡率が、1995年のワースト9位から2014年のベスト8へ好転した広島県。2012年からはデーモン閣下が県のがん検診の啓発に協力しており、翌年には、がん検診受診率、全国順位ともに上昇。また、一連のがん治療を効率的、効果的に行うため、がん診療連携拠点病院を含めた複数の医療機関が参加する医療連携体制を整備。医療機関へ足を運びやすい環境が早期発見・早期治療につながります。
男女とも平均寿命日本一の長野県では、予防医学の発達が、がん対策にも効果を発揮しているようです。須坂市が発祥で県内全域に広まった保健補導員制度は、禁煙や減塩など生活習慣の改善はもちろん、健診を受けることの重要さを伝えるのも大切な役割。地域密着の活動が、健康寿命の延伸をもたらしています。
2002年の開設以来、「がんよろず相談」を続ける「静岡県立静岡がんセンター」を有する静岡県では、がんに関する相談支援と情報提供の整備に注力。「よろず相談」での事例をQ&A式にまとめた「Web版がんよろず相談」は、誰でも閲覧できます。また、「ふじのくに健康マイレージ事業」では、市町が定める健康づくりメニューの実践により、一定のポイントを貯めた住民が、指定の協力店で割引サービスなど各種特典を受けられるユニークな制度もあります。
検診や生活習慣の改善、治療やケアなど取り組みは多彩。お住まいの地域の対策を知り、まずは予防から、始めてみてはいかがでしょう?
予防から治療、ケアまで。地域でのがん対策を知っていますか?
この記事は『毎日が発見』2016年6月号に掲載の情報です。