知らず知らずのうちに身につく! 全身の血の巡りを改善する生活習慣/「乱れ血圧」にご用心(8)

pixta_9082715_S.jpg血圧の数値の上昇・下降が急激すぎたり、乱高下して、体のトラブルを引き起こす「乱れ血圧」。その予防や対処法として、運動が良いといわれています。でも、それを知っていても、そのための時間が取れない、やり方がわからないなどを理由に、なかなか初めの一歩を踏み出すことができないのが、悩みのタネ。そんな人のために、今日からすぐできる生活習慣を、東京女子医科大学高血圧・内分泌内科主任教授で、日本高血圧学会理事の市原敦弘先生が伝授します。

前の記事「教えて、市原敦弘先生! 血圧のついての素朴な疑問/「乱れ血圧」にご用心(7)」はこちら。

 

知らず知らずのうちに健康な生活習慣が身につきます

「特別な運動をすると考えずに、全身の血の巡りを良くするために、こまめに体を動かすようにしてみましょう。例えばエレベーターではなく階段を使う、ちょっとの距離なら歩くようにするなど、少しだけ気を付けていると、いつの間にか健康的な生活習慣が身に付くことになるのです」と市原先生。

もちろん、ここでいう運動は速く走ったり、他人と競争する意味の運動ではなく、自らの体のメンテナンスのための運動です。市原先生は考え方の目安として運動の種類を「他動的な運動」「自動的な運動」と二つに分類し、その両方を行ってみてはと提案します。

「他動的というのは、他人に何かをしてもらう、ということです。腕や首など体の一部分を押す、さするなどのマッサージをしてもらうのは、その代表例です。自分で自分の体をもむのも良いのですが、指が届かないところもあるし、他人にもんでもらった方が気持ちが良いと感じるでしょう。感情の乱れは血圧の乱れや高血圧にもつながりますから、他人に体を大切にケアされているという癒やされ気分を抱くことは、健康に良いのではと考えられています」

自動的な運動とは、自分で何か行動を起こすタイプの運動です。ジョギングのような有酸素運動は特におすすめですが、体力にあまり自信のない人は早歩きでもよいでしょう。日常生活の中でも自動的な運動が可能な場面はいろいろあります。例えば、30分に一度はゆっくり立つ、座るなどするようにしてみましょう。それだけでも自動的な運動をしたことになるのです。座りっぱなし、立ちっぱなしなど同じ姿勢をとり続けることは、血圧を正常に保つ機能を衰えさせるので、適度に体を動かして血圧を一定に保つ機能を働かせましょう。

 

入浴は最大の健康法! ゆっくり湯船に浸かりましょう

自動的な運動の中で、最も楽なのは入浴です。38~40℃くらいのぬるめのお湯で湯船にしっかり、ゆっくり浸かりましょう。これは血管の内皮細胞の再生スイッチを入れることにつながります。浸かる時間は20~30分。長いようでも文庫本をビニールに入れて読んだり、防水のラジオやスマホを持ち込んでみたりすると意外にあっという間です。ただし心臓にトラブルがある人は半身浴を。肩まで浸かると心臓に余計な負担がかかることもあります。

運動以外にも、毎日の生活シーンで良い生活習慣となりそうなことは数多くあります。例えば、目が覚めたとき。起床時は誰でも血圧が高いものですが、その際に急に動いたりせず、布団やベッドに寝たままでストレッチしたりしながら体を徐々に動かし、起き上がるようにするなども、良い生活習慣の一つです。

この他にも、感情的にならない、冬場は風呂の脱衣所やトイレなどとの温度差に気を付けるなど、いろいろなことを試してみてはいかがでしょう。今日からできる健康習慣を実践してみましょう。

 

<他動的な運動>

●マッサージ

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・血の巡りが良くなる
・自分でやってもいいが、他人にしてもらうとなお良い
・水平方向の圧力(シアストレス)が血管の内皮細胞を刺激。血管の内皮細胞の再生が促される

 

<自動的な運動>

●軽いジョギング

1802p037_01.jpg・うっすらと汗をかくくらいで
・無理なくできるレベルで走る
・体に軽い負荷をかける

 

<自動的な運動>

入浴・半身浴
1802p037_02.jpg・しっかりと湯船につかる
・ゆっくり20~30分
・文庫本をビニールに入れて読む、お風呂で聴けるラジオ、防水のスマホで動画を見るなどの工夫も
・心臓に不安のある人は、負担をかけないように半身浴を

 

「血圧手帳」を持っていますか!?

「血圧手帳」は市販され、書店や文具店でも購入できます。最近ではパソコンやスマホに入力してデータを管理できるソフトもあります。高血圧の人は通院の際には忘れずに持参し、主治医に見せましょう。治療薬の効果や副作用、食生活や運動習慣などの成果を確認してもらいます。

血圧に問題のない人も健康維持のために記録しておくと、いざというときに役立ちます。「お薬手帳」のように、身近に持っていたいものです。

 

取材・文/宇山恵子 

<教えてくれた人>
市原敦弘(いちはら・あつひろ)先生

東京女子医科大学高血圧・内分泌内科主任教授。日本高血圧学会理事。慶應義塾大学医学部卒。ホルモン異常や腎機能など高血圧の根本原因を突き止め治療する専門家として年間5000人以上を診る。

この記事は『毎日が発見』2018年2月号に掲載の情報です。

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