激痛を伴ったり、寝たきりの原因になる「脊椎圧迫骨折」。新治療法「骨セメント」を専門医・北川 亮先生が解説


転倒などをきっかけに起こる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)による背骨の圧迫骨折。

激痛を伴ったり、寝たきりの原因になることも。

コルセットやギプスで固定する保存療法が一般的ですが、近年広がるのが、骨セメントを使った治療です。

圧迫骨折した背骨に、針で骨セメントを注入して痛みを取る治療で、保険適用は2種類あります。

「一つ目は、つぶれた骨の中でバルーン(風船)を膨らませて骨を広げ、できた空洞に骨セメントを入れるBKP。二つ目が、つぶれた骨にステントを挿入、風船で作った空間を保った状態で入れるVBSです」と、北川亮先生。

痛みで寝返りも打てない場合や、骨折後少し時間がたっても体を動かすたびに痛むといったケースに適しています。

副作用として、骨セメントが血管や脊柱管に漏れることでの合併症などが懸念されますが、症状が出るほどの量が漏れ出すのは非常に稀なことだそう。

「BKP、VBSの治療は、体への負担が少なく、痛みに即効性があるのが特徴。早ければ治療翌日にでも退院可能ですが、体力回復や歩行訓練のリハビリが必要。治療を受ける際は、リハビリまで対応できる病院を選んでください」

BKP、VBS、どちらが適しているかは症状によって変わります。

気になる人は、医師に相談してみましょう。

取材・文/寳田真由美(オフィス・エム) イラスト/坂木浩子

 

<教えてくれた人>

総合東京病院 脳神経外科科長 脊椎脊髄センター 副センター長
北川 亮(きたがわ・りょう)先生

日本医科大学卒業。専門は頭部外傷、脊椎脊髄疾患。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。日本脊髄外科学会認定医。現所属センター全体でのBKP、VBS手術実施数は年間200例以上にのぼる。

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