「手足口病」「ヘルパンギーナ」流行のピークは夏! 小児科医に聞く「症状」と「正しい対応」

子どもが怪我や病気をしたらどう対応すれば良いでしょうか。すぐに救急? かかりつけ医でOK? わからないことばかりで不安を抱えているパパ・ママも多いはず。そこで今回は小児科医が書いた「ママ・パパ向け 家庭の医学」である『行列のできる子ども健康相談室 0~10歳児の病気とケガのおうちケア』を紹介します。著者は「たけつな小児科クリニック院長」で、年間約3万人の子どもを診る小児科医・竹綱庸仁先生。子育ての不安を解消するアドバイスが満載の本書から、内容を抜粋してお届けします。

※本記事は竹綱庸仁 著の書籍『行列のできる子ども健康相談室』から一部抜粋・編集しました。

【前回】ほとんどの子の「病気デビュー」はコレ!小児科医が教える「突発性発疹」の症状とおうちケア

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口内炎や喉の痛みで食事がとれないことも。

風邪の一種で、口の中に痛みを伴う

ヘルパンギーナ

かかりやすい時期:7~9月
かかりやすい年齢:全年齢
潜伏期間:2~4日
回復までの日数:3~7日程度
登園・登校:不可(※発熱や口腔内の潰瘍・水疱がおさまれば可)
予防接種:なし

ヘルパンギーナは、コクサッキーウイルス、エンテロウイルスなどによって起こります。

主に夏に流行のピークを迎え、まれに冬でもかかることがあります。

ウイルスが唾液などで口腔内に入ることにより感染します(飛沫感染、経口感染)。

ヘルパンギーナは口の中に口内炎ができたり、喉の奥の粘膜がただれたり、口の中の痛みを伴うことが特徴です。

発熱や咳、鼻水、下痢といった風邪症状のほか、発熱時にけいれんを起こすこともしばしばみられます。

症状が出てから治癒までは3日から7日程度ですが、口の中の痛みによって食事ができない場合などは治癒するのに1週間以上かかる場合もあります。

ウイルスによって引き起こされるため、特別な治療は必要なく、自然軽快します。


救急or病院 チェックリスト

救急車を ★★★ 夜間・休日診療へ ★★☆ かかりつけ医の診察時間に受診 ★☆☆

□ 発熱を伴ったけいれんがあった ★★★
□ おしっこの回数が減っている ★★☆
□ 嘔吐を繰り返している ★★☆
□ 口の中が痛くて、ものが飲み込めない ★☆☆
□ 水分が摂取できない ★☆☆


治療

ヘルパンギーナもウイルスによる風邪の一種なので、自然治癒で回復します。

こんなときはすぐに救急車を!

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けいれんしている
ヘルパンギーナを起こすウイルスは脳などの神経に影響を及ぼします。ときには熱性けいれんを起こすこともあります。けいれんが起きたら救急車を呼びましょう。

《教えて! たけつな先生》

熱は下がったけど口内炎はある。登園OK?
ヘルパンギーナは学校保健法で登園・登校基準が定められていて、「発熱や口腔内の潰瘍・水疱の影響がなく、普段の食事がとれること」とされています。口内炎が残っている状況で、ご飯が通常通り食べられていない場合は、痛みなどの症状が残っている可能性もあるので、登園・登校は控えるようにしましょう。

おうちケア

●うがい、手洗いは有効です

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ヘルパンギーナはウイルスが口の粘膜に付着・侵入して感染します。家族や園にヘルパンギーナの患者がいる場合には、念入りにうがいや手洗いをすることが大切です。大人にも感染するため、食器などを共用しないように注意して。

●口あたりのいい食事を

ヘルパンギーナの特徴は口腔粘膜に潰瘍・水疱ができ、口の中が痛くて、食事や水分がとりにくくなることです。したがって、脱水や栄養不良を起こさないためにも、スープやゼリーなどの流動食系の食べものを。アレルギーや下痢がなければアイスは刺激が少なく、栄養価も高いのでおすすめです。

●口の中が痛いときは痛み止めを

うがいなどでも口の痛みはやわらぎますが、うがいをしても痛みが止まらない場合は解熱鎮痛剤を使います。痛みがやわらいでいるうちに水分や食事を少しでもとらせましょう。

《教えて! たけつな先生》

早く治す方法はある?
ヘルパンギーナは口の粘膜がただれるので、粘膜の修復を助けるためにビタミンをとるといいでしょう。ビタミンC が含まれるオレンジジュースがおすすめですが、酸味で口の中が痛くなることもあるので、野菜ジュースなどで代用してもいいでしょう。

風邪の一種。湿疹は手足口のみに出現

手足口病

かかりやすい時期:夏
かかりやすい年齢:5歳以下
潜伏期間:1~5日
回復までの日数:1週間程度
登園・登校:不可(※発熱や口腔内の潰瘍・水疱を伴う場合予防接種なし)

手足口病は、ヘルパンギーナと同じコクサッキーウイルス、エンテロウイルスなどによって起こります。

流行のピークは夏で、まれに冬にかかることがあります。

手足口病の湿疹は、病名の通り手足口に出現します。

手のひらや足の裏は、少し硬めで隆起した水疱が多数みられ、すねや腕などに出ることもあります。

引っかくと"とびひ"になることがあるので注意しましょう。

おなかや背中に湿疹が出ることはありません。

口の中は、口内炎や喉の奥の粘膜がただれ、痛みがあります。

口あたりのよい食べものや鎮痛剤を使って、栄養や水分をとりましょう。

基本的には、ウイルス性の風邪なので特別な治療は必要なく、湿疹は自然治癒で回復します。


救急or病院 チェックリスト

救急車を ★★★ 夜間・休日診療へ ★★☆ かかりつけ医の診察時間に受診 ★☆☆

□ 発熱を伴ったけいれんがあった ★★★
□ 嘔吐を繰り返している ★★☆
□ 口の中が痛くて、ものが飲み込めない ★☆☆
□ 水分が摂取できない ★☆☆


イラスト/堀川直子

 

竹綱庸仁

たけつな小児科クリニック院長。小児科専門医、小児科指導医、地域総合小児医療認定医。愛知医科大学医学部卒業後、附属病院で臨床研修医として勤務。ときに「たけつな渋滞」が起こるほどの信頼を得て、年間約3万人の子どもを診るクリニックのほか、共働きの親が病気の子どもを預けられる「病児保育室バンビ」、言語発達遅延を持つ子どもに個別の言語訓練を行う児童発達支援「のびいく」を立ち上げる。

※この記事は『行列のできる子ども健康相談室 0~10歳児の病気とケガのおうちケア』(竹綱庸仁/KADOKAWA)からの抜粋です。
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