冬は「高血圧・高血糖・高血中脂質」のトリプルリスクに要注意!今日からできる【3つの対策】とセルフチェック

生活習慣病の代表格である高血圧、高血糖、高血中脂質。これらのうち一つでも該当すると、他の二つも悪くなる可能性がある「トリプルリスク」という言葉をご存じでしょうか? 冬に悪化する人も多いというトリプルリスクとは何なのか、どうしたら予防・改善できるのか、鈴鹿医療科学大学大学院薬学研究科教授の藤川隆彦先生にお伺いしました。

冬は「高血圧・高血糖・高血中脂質」のトリプルリスクに要注意!今日からできる【3つの対策】とセルフチェック 高血圧.jpg

あなたは大丈夫? 該当するものがあったらご注意を

まずは、次のチェックリストをみて、自分に思い当たるものがないか確認してみましょう。

□20歳のときから体重が10kg以上増えている
□おなかがぽっこりと出ている
□週2回以上、汗をかくような運動を1年以上やっていない
□満足するまで食べてしまう
□食べるのが早い
□から揚げなど揚げ物が好き
□間食や夜食をよく食べる
□ほぼ毎日、アルコール飲料を飲む

一つでも該当する方は、血管の重篤な病気につながるトリプルリスクを抱えている可能性があります。では、トリプルリスクとは何なのでしょう?

元凶は内臓脂肪。複数重なると心筋梗塞などのリスクがアップ

・高血圧、高血糖、高血中脂質が連鎖する仕組み
「トリプルリスクの元凶は、内臓脂肪の蓄積です」と、藤川隆彦先生。内臓脂肪は、胃や腸といった内臓の周りに溜まる脂肪で、体重は多くないのに実は内臓脂肪の数値が高いといった、いわゆる「隠れ肥満」というケースも。

「内臓脂肪が蓄積されていくと、アディポネクチンという善玉ホルモンの分泌が低下。すると、インスリンの働きが悪くなります。インスリンには血糖値を下げる働きがありますが、この働きが悪くなると、血糖が上がり、血糖値を下げようとインスリンの分泌量が過剰になります。すると、腎臓はナトリウムの再吸収を促し、血圧が上昇。肝臓では中性脂肪の合成が盛んになって血中脂質が上昇します」

つまり、もしも健康診断などで一つでも数値が悪かったら、他の数値にも影響を与えるインスリンの働きが悪くなっている可能性があるということです。これが、高血圧、高血糖、高血中脂質が連鎖して起こるトリプルリスクです。

・心疾患の発症リスクが31.3倍に!?
さらに厄介なことに、トリプルリスクを放置したままにしていると、命にかかわる重篤な病気に陥るリスクが高まると藤川先生。
「高血圧、高血糖、脂質異常といった危険因子が重なるほど、心筋梗塞など心疾患の発症リスクが上がります。危険因子が3~4つある人は、発症リスクが最大で31.3倍にも達するという報告もあるんです」

冬の寒さや巣ごもり生活でリスクが上昇!

冬は「高血圧・高血糖・高血中脂質」のトリプルリスクに要注意!今日からできる【3つの対策】とセルフチェック 冬巣ごもり.jpg

寒さが厳しくなる冬は、血圧、血糖、血中脂質の数値が悪化しやすく、トリプルリスクが増す季節です。

「冬は気温の低下によって血管が収縮するため、ただでさえ血圧が上がりやすくなります。さらに、空気の乾燥によって肌から水分が蒸発することで、血流量が低下します。すると、基礎代謝も低下。そのうえ、室内で過ごすことが増えて動かない生活が多くなり、消費カロリーは減少。自ずと内臓脂肪が増え、善玉ホルモンの分泌が減ってトリプルリスクが上昇してしまうのです」

食生活の見直しと活動量アップでリスクを減らす

・トリプルリスクの解消法(1) 食生活の見直し
では、どうしたらトリプルリスクを減らすことができるのでしょう。
「まずは3食規則正しく食べて下さい。活動量を考えると、昼食がいちばん多く、次が朝食。夕食は最も少なくするのがベストです。特に、糖質の多い果物は、朝か昼に食べるようにしてください」

他にも、食事で気を付けることを聞くと、

・ゆっくり噛む
・色や香り、味わいを楽しむ
・野菜やきのこ、海藻などで食物繊維をたっぷり摂る
・うどんと寿司、チャーハンにラーメンなど、炭水化物の重ね食いは避ける
・夕食は軽めに、できれば寝る4時間前には済ませる

と、教えてくれました。

・トリプルリスクの解消法(2) 活動量アップ
「運動は、少なくとも1日おきには行いたいものです。ウォーキングなど、15~20分のまとまった運動がいいでしょう。歩いて15分程度の距離なら、電車やバスに乗らないのもおすすめ。近くに公共交通機関がない場合は、つい車に頼りがちになるので、ウォーキングの習慣をつけることが大切。歩くときは手を大きく振り、1歩を広くすることを意識すると消費エネルギーが高くなります」

運動が苦手な方は、「できるだけ階段を使う」「電車の中では座らない」といったちょっとした工夫をすることで活動量を増やすことができるといいます。

1日6gの杜仲茶は、ウォーキング1時間と同様の脂肪減少効果が!

・トリプルリスクの解消法(3) 杜仲茶を飲む
トリプルリスクの元凶である内臓脂肪を減らすには、杜仲茶もいいと藤川先生。
「杜仲茶の葉には、アスペルロシドという普段の食事では摂ることのできない成分が含まれています。アスペルロシドは、小腸に働きかけて胆汁酸の分泌量を増やし、肝臓や筋肉、褐色脂肪細胞などの脂肪を燃やしやすい細胞に働きかけ、脂肪の代謝を活発にします。その結果、基礎代謝が高まって内臓脂肪が減り、糖分や脂肪分に関係する血液の数値が改善。また、血管を拡げるNO(一酸化窒素)が増えて血圧が低下。血管がしなやかになります」


【杜仲葉エキスが体重と内臓脂肪を低減】

冬は「高血圧・高血糖・高血中脂質」のトリプルリスクに要注意!今日からできる【3つの対策】とセルフチェック 杜仲茶エキス.png

【出典】日本杜仲研究会「杜仲の肥満への効果」

<方法>
内臓脂肪100㎠以上の人を杜仲葉エキス配合食品グループ(15名)と無配合食品グループ (12名)とに別けて、それぞれの食品を2カ月間摂取してもらい、体重と内臓脂肪断面積の変化を測定した。
杜仲葉グループは、杜仲葉6gを煮出したエキスを配合したサプリメントを、1日1回摂取した。

<結果>
杜仲茶エキス配合食品グループは、無配合食品グループと比較して、体重および内臓脂肪が減少した。


研究では、杜仲茶葉を毎日6g摂取すると、2~3日後から便通が改善し、約2週間後には血圧が穏やかに低下、約1カ月後には中性脂肪が減り、約2カ月後には内臓脂肪が減り、基礎代謝がアップすることが分かっています。これは、ウォーキングを1時間しているのと同じだけ脂肪を減らす効果だそうです。

杜仲茶の飲み方はお好みでOK! 深い眠りを誘う効果も

冬は「高血圧・高血糖・高血中脂質」のトリプルリスクに要注意!今日からできる【3つの対策】とセルフチェック 杜仲茶.jpg

内臓脂肪の減少や血管の若返りなどを期待できる杜仲茶ですが、いったいどれぐらい飲めばいいのでしょう?
「杜仲茶の葉6gを、1日で飲みきれる量で煮出して飲むのがいいでしょう。杜仲茶には、アスペルロシドの他にゲニポシド酸という健康成分もあり、最近は、これらの含有量を表示している製品も売られています。健康成分の含有量を参考に選び、ご自身の健康管理に役立ててください」

杜仲茶は、アレンジしてもおいしいと藤川先生。

例えば、

・杜仲茶にミルクと少量のはちみつを入れる
・濃い目に煮出した杜仲茶を冷やし、炭酸で割る

といった味わい方もおすすめだそうです。

杜仲茶の味が苦手という人は、香りだけでも健康効果を期待できます。
「濃い目に煮出した杜仲茶の香りは、深い睡眠を誘導する作用を期待できます。睡眠不足は内臓脂肪が溜まる原因の一つ。眠りを改善することで、内臓脂肪の減少も期待できます」

トリプルリスク対策は、いつからでも遅すぎることはありません。食事や飲み物、運動など、一つからでも取り組んでみましょう。

取材・文=寳田真由美(オフィス・エム)

 

<教えてくれた人>

藤川隆彦(ふじかわ・たかひこ)先生

鈴鹿医療科学大学大学院 薬学研究科 教授。博士(医学)。米国シンシナティー大学医学部客員研究員、()国際科学振興財団研究員、三重大学大学院医学系研究科准教授、三重大学医学部客員教授などを経て現職。 行動薬理学などを活用した生薬薬理学を専門とし、 医薬品開発にも関わるほか 予防医療支援システムの構築を目指す。 日本杜仲研究会 理事。

この記事に関連する「健康」のキーワード

PAGE TOP