足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。
※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。
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下肢静脈瘤に似たような症状でも異なる病気の可能性もある
下肢静脈瘤を心配して来院する方は、むくみ、重だるさ、こむら返り、痛み、しびれなど、さまざまな足の症状を訴えています。
しかし、このような足の症状が、下肢静脈瘤以外の病気が原因であることも少なくありません。
私のクリニックでは、患者さんが下肢静脈瘤であるかどうかを診断するだけでなく、足の症状が下肢静脈瘤によって起こっているのかを診断します。
例えば足のむくみは、腎臓や肝臓の病気、甲状腺ホルモンの低下、貧血など内科的な病気が原因の場合があります。
特に、足の痛みを訴える患者さんは、下肢静脈瘤以外が原因のことが多いです。
代表的なのは「変形性膝関節症」。
ひざの軟骨がすり減り、関節の骨同士がこすれて痛みます。
正座や階段の上り下りの際に痛むことが多く、ひざに水がたまり、むくみが出ることがあります。
中年以上の女性に多いのが特徴です。
似た症状でも違う病気の可能性
閉塞性動脈硬化症
歩くと足に痛みやしびれが出るが、休むと回復する。足の動脈硬化が原因。糖尿病や慢性腎不全などからくることも。
足底腱膜炎
土踏まずに痛みが出る。階段を上るとき、さらに痛くなる。原因は長時間の立ち仕事や歩行、体重増加、足の使いすぎなど。
むずむず脚症候群
夜、布団に入ると足の深部に虫がはっているような感じがして、じっとしていられなくなる。歩き回ると症状は治る。原因はさまざまで、睡眠障害をあつかう精神科や神経内科の受診を。
脊柱管狭窄症
歩いていると足に痛みやしびれが出るが、休むと回復する。背中にある神経の通り道が狭くなっていることが原因。
変形性膝関節症
ひざを曲げるのが辛く、特に正座や階段を下りるときに痛みが増す。ひざの関節内の炎症が原因。
他にも「足底腱膜炎」や「脊柱管狭窄症」のこともあります。
足底腱膜炎は、朝起きて最初の一歩にかかとや土踏まずに激しい痛みを感じる病気です。
脊柱管狭窄症は、腰の痛みや足のしひれが起こる病気です。
しばらく歩くとふくらはぎが痛んだりしびれたりし、少し休むと回復する「間欠性跛行」という症状や、足の裏に「砂利を踏んでいる」「紙が張り付いている」ような感覚がするのが特徴です。
これらの病気が疑われる場合は、整形外科を受診する必要があります。
脊柱管狭窄症と似たような症状が出るものに「閉塞性動脈硬化症」があります。
足の動脈が動脈硬化症でふさがってしまい、足を流れる血液が不足し、脊柱管狭窄症と同様に歩くとふくらはぎが痛くなる症状が起こります。
喫煙や糖尿病が危険因子となります。
閉塞性動脈硬化症が疑われる場合は、血管外科あるいは循環器科を受診します。