足の血管が浮き出る、ボコボコしている、むくみがひどい...。それらの症状は「下肢静脈瘤」が原因かもしれません。放置しておくと重症化する場合もある「下肢静脈瘤」ですが、軽症のうちはセルフケアで何とかなります! そこで今回は"血管の名医"である広川雅之先生の著書『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』をご紹介。自分の症状はセルフケアで治るの? 放っておくとどうなるの? 別の病気の可能性は? 「下肢静脈瘤」に関する疑問を名医が徹底解説します。
※本記事は広川雅之著の書籍『血管の名医が教える 下肢静脈瘤の治し方』から一部抜粋・編集しました。
【前回】足の皮膚が真っ黒に...!?「下肢静脈瘤」を放置すると危険がたくさん
下肢静脈瘤になりやすい人となりにくい人がいる
静脈内の逆流防止弁が壊れることで起こる下肢静脈瘤ですが、壊れやすい人と壊れにくい人がいます。
ここでは弁が壊れやすい=静脈瘤になりやすい人の特徴を紹介します。
●タイプ1●立ち仕事の人
危険度:3
長時間立ちっぱなしで、足をほとんど動かさない職業の人です。
足の筋ポンプ作用が働かず、静脈の血液が心臓に戻りにくくなり、静脈に高い圧力がかかり続けることで弁が壊れてしまいます。
特に1日10時間以上立ちっぱなしの人は要注意です。
具体的な職業では、料理人、美容師、理容師、レジ係などがあげられます。
また、同じ職業でも、巡回で歩き回る警備員と、同じ場所に立ち続ける警備員では、立ち続けるほうがリスクが高くなります。
一方、座りっぱなしの仕事も、足の筋ポンプ作用が働かないので下肢静脈瘤になりやすくなります。
●タイプ2●親族に下肢静脈瘤の人がいる
危険度:3
下肢静脈瘤は、遺伝傾向が強い病気です。
発症率は、両親とも下肢静脈瘤があると90%、どちらかのみでは25~62%、両親とも下肢静脈瘤ではない場合は、20%の割合です。
●タイプ3●中高年の人
危険度:2.5
静脈瘤は加齢とともにできやすくなります。
年齢を重ねると、静脈の逆流防止弁の数が減ったり壊れやすくなりますし、筋肉の量が減るので、ふくらはぎの筋ポンプ作用が弱くなるためです。
静脈瘤は、一度発症すると自然には治らないので、年齢が高くなるほど発症している人の割合は高くなります。
50~60代の60%以上、70代の70%以上が発症しているというデータもあります。
●タイプ4●妊娠・出産の経験者
危険度:2
妊娠すると、出産に備えて子宮口を広げるために女性ホルモンが変化します。
血管もその影響を受け、静脈が柔らかく伸びやすくなり、逆流防止弁がきちんと閉じなくなります。
また、妊娠後期になると胎児が腹部の静脈を圧迫するため、血液が心臓に戻りにくくなり、静脈瘤が発症しやすい状態になります。
出産後半年ほどすると静脈瘤は目立たなくなりますが、完全に治ったわけではないので、妊娠と出産を繰り返すと、静脈瘤は進行していきます。
●タイプ5●女性
危険度:2
女性の下肢静脈瘤は、男性の1.2~2.8倍多いといわれています。
前述したように女性は妊娠・出産の機会があることや、男性と比べて筋力が弱く、筋ポンプ作用が働きにくいことが要因にあげられます。
●タイプ6●運動不足・肥満の人
危険度:2
運動不足になると足の静脈の流れが滞
るだけでなく、筋肉が衰えてふくらはぎの筋ポンプ作用が低下します。
また肥満になると腹圧が高まり、足からの血液の流れが妨げられるので逆流防止弁に負担がかかり壊れてしまうことがあります。