加齢によるニオイやかゆみの原因は? 大切な「腟内フローラ」のバランス/女医が教える性のトリセツ

加齢に伴うデリケートゾーンの悩みを相談できず、ひとりで抱えていませんか? 人生100年時代となった今、50歳で閉経をすると、その先50年は女性ホルモンの分泌量が激減した身体で生きていかなければなりません。だからこそケアをして快適に過ごしたいものです。そこで、"痛みの専門医"富永ペインクリニック院長・富永喜代先生の『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)からお役立ち情報を抜粋してお届けします。

【前回】更年期を迎え低下する「エストロゲン」。デリケートゾーンにも変化が.../女医が教える性のトリセツ

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※画像はイメージです

エストロゲン低下がニオイの原因に

加齢によるデリケートゾーンのニオイの変化は、女性ホルモン「エストロゲン」が低下したことによる影響です。

このとき腟内には、なにが起こっているのでしょうか?

少し聞き慣れない言葉ですが「腟内フローラの変容」です。

私たちの身体は、さまざまな細菌の働きによって活かされています。

腸でいえば、悪玉菌や善玉菌という言葉がよく知られていますね。

これと同じように腟内にもありとあらゆる細菌が住んでいます。

そしてこの細菌が、ひと所に群がっていることから「腟内フローラ」 と言います。

私たちの腟は、デーデルライン乳酸桿菌という常在菌(乳酸菌の一種で善玉菌)によって守られています。

この菌は腟内を常に酸性(pH値3・8~4・5)に保ち、外からの雑菌の混入を防いでくれる役割があります。

これを自浄作用と呼びます。

しかし加齢に伴い女性ホルモンのエストロゲンが減少することで、デーデルライン桿菌のエサとなるグリコーゲンが腟の上皮細胞で作られなくなってくるのです。

エサがないと、どんなに身体にとって良い菌でも働きようがありませんね。

この腟内フローラのバランスが崩れて、デーデルライン桿菌が減少し、腟内がアルカリ性に傾いて自浄作用が弱まった結果、ニオイやかゆみの原因となるのです。

もちろん加齢以外にも、細菌性腟症やクラミジア、淋病によって腟がにおうことがあるので、決して自己判断せずに少しでも腟に違和感のある場合は、すぐに専門医に相談してみてください。

用語解説:腟内フローラ用語解説 「腟内細菌叢(さいきんそう)」とも呼ばれます。

【POINT】女性ホルモンの影響で腟内フローラが変容し、腟の自浄作用が弱まります

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富永喜代(とみなが きよ)
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会指導医。1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人超の臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。全国から患者が集まり、のべ23万5000人の痛みを治療し、性交痛外来では5000人のセックスの悩みをオンライン診断する。

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※この記事は『女医が教える性のトリセツ』(富永喜代/KADOKAWA)からの抜粋です。
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