加齢に伴うデリケートゾーンの悩みを相談できず、ひとりで抱えていませんか? 人生100年時代となった今、50歳で閉経をすると、その先50年は女性ホルモンの分泌量が激減した身体で生きていかなければなりません。だからこそケアをして快適に過ごしたいものです。そこで、"痛みの専門医"富永ペインクリニック院長・富永喜代先生の『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)からお役立ち情報を抜粋してお届けします。
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息子に言われた「ママのアソコ、くさいよ」のひと言
ここで、私のエピソードをご紹介します。
今から遡ること8年前、リビングで当時小学生だった息子を抱っこしていたとき、こんな言葉を投げかけられました。
「ママのアソコ、くさいよ」 あまりのショックで、驚きました。
そしてすぐに私は、「そんなはず、ないでしょう!」と返していました。
恥ずかしさもありました。
しかし今思えば、このひと言は、息子にとっては、子ども心に勇気を振りしぼって伝えたものだったはずです。
いくら家族とはいえ、いくら子どもとはいえ、デリケートゾーンのニオイを指摘する行為は、勇気がいることです。
それなのにそのときの私は、そんな息子の思いやりや優しさを無下にして、頭から否定したのです。
普段の私なら、彼が言いにくいことを正直に打ち明けてくれたことを褒めて「ありがとう」と言って対応していたことでしょう。
やがて、自分自身の対応にも、後悔の念が湧いてきました。
しかし実は自分でも、薄々は気づいていました。
お風呂に入るときに、脱いだズボンの股の部分から、以前とは違うニオイがしていたこと。
昔は穿けていたショーツが擦れて、ヒリヒリと乾燥して痛みがあること。
そんなデリケートゾーンの変化、ニオイの問題は、女性として恥ずかしく、真正面から受け止めきれぬまま、日々過ごしていたのです。
けれど息子の目(この場合は鼻ですね)は、ごまかせなかった。
この日、一番身近な存在からニオイを指摘されたことで、私は加齢に伴うニオイ、さらにデリケートゾーンの変化について、ひとりの女性として、医師としてこれまで以上に真剣に向き合うことになったのです。